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第85回選抜の選考を振り返る【北海道、東北 編】

2013.01.26

第85回選抜の選考を振り返る【21世紀枠 編】

地区 高校名 都道府県 出場回数
北海道/東北 北照 北海道 2年連続5回目
仙台育英 宮城 6年ぶり10回目
聖光学院 福島 2年連続4回目
盛岡大付 岩手 3年ぶり3回目
山形中央 山形 3年ぶり2回目

北海道地区 出場枠1・候補校3

北照バッテリー(12’秋季北海道大会)

遠軽が21世紀枠で選出され、一般枠は北海道大会ベスト4の残り3校で議論し、決勝を戦った北照駒大苫小牧が最終選考に残ったが、優勝した北照が選出された。

■ 北照
投手陣では昨年の甲子園経験がある左の大串和弥が柱。スライダーやシンカーなど、多彩な変化球を低めに集め、相手打者に的を絞らせず、要所を抑えた粘り強いピッチングが光った。
守備では全道大会4試合で失策が2と、内外野とも堅実なプレーが目立つ。攻撃でも秋季大会全体のチーム打率が3割7分に近く、1番から6番までが強力で、機動力も使い、平均6.8得点で他校を上回った。

補欠1位 駒大苫小牧
投手陣では右の吉尾洸介が軸。182センチの長身からの直球とカーブには角度があり、打者を抑える力は十分と評価した一方で、コントロールにやや不安が残った。守りは二遊間を中心によくまとまっており、攻撃は4試合10盗塁と機動力で攻めの野球を見せた。更に3試合逆転勝ちの粘り強さは見事と称賛され、攻守は北照と互角であるという見解が示された。

[page_break:東北地区]

東北地区 出場枠4・候補校15(神宮大会枠、東北絆枠を含む)

仙台育英ナイン(12’秋季東北大会)

神宮大会枠、東北絆枠を合わせ4校の選出が選考委員に委ねられた。
まず昨秋の東北大会の特徴として、参加18校のうち10校が公立校だったということと、昨今の東北地区レベルアップで今回も大熱戦が展開されたと総括した。

■ 仙台育英(宮城県)
東北大会を制し、明治神宮大会を制した同校が1番目として選出された。
1試合平均5点以上の打線は、1番の熊谷敬宥、3番長谷川寛、4番上林誠知の3人が軸。投手は鈴木天斗馬場皐輔の2枚看板が安定。文句なしに東北NO1のチーム力を持つと高い評価を得た。

■ 聖光学院(福島県)
1年生左腕の石井成は変化球を巧みに操り、コントロールも抜群で安定感を見せた。攻撃でも4番の園部聡を中心に切れ目がない。犠打を多用した確実な野球をするチームとして2番目に選ばれた。

■ 盛岡大附(岩手県)
投打のバランスの良さが神宮大会枠選出の決め手となった。1年生右腕の松本裕樹は140キロを超える直球を中心にリズムがあり大崩れが少ない。打つ方でも中心選手。打線全体でも切れ目が少なく、長打力もあって優れたチームと評価された。だた課題は少し弱さがみられた守備力で、相澤孝行地区別小委員長は「成長に期待したい」とエールを送った。

■ 山形中央(山形県)
守りが主体のチームだが、打線のしぶとさも目立った。エースの高橋凌平は、右サイドハンドからキレのある球を投げる。石川直也高橋和希といったリリーフ投手も好投を見せた。攻撃は4番熊谷鴻志、5番今野翔太を中心に粘り強い。チームは3年前に21世紀枠で選出されて以来、着実に力をつけている。人間力を磨く教育や、ボランティア活動に力を入れており、地域からの信頼が厚いのも加味されて東北絆枠として選出された。

補欠1位 酒田南

補欠2位 光南

☆ピンポイント(解説=松倉雄太)

記念大会で特別に作られた『東北絆枠』について、発表された当初から主催者サイドは選考委員会での判断に委ねるという方針を示していた。
ただ、観点が解り難いということもあり、選考委員会総会後の記者会見では質問が集中した。説明に当たった相澤地区小委員長は、例年の一般枠を決める選考と違う難しい作業であったことを明かした上で、「東北絆枠は21世紀枠の性質とは一味違う。野球の実力を兼ね備えているのはもちろんではあるが、それ以外に東北全県の中からキラリと光る何かを持っているチームを選びたかった」と話した。
選ばれた山形中央は3年前に21世紀枠で選出されたチームで、その後も目覚ましい躍進と、地域に密着した学校を挙げての努力が継続されているという点がキラリと光るというポイントに合致した。そして、山形県が被災した太平洋側から多くの避難者を受け入れていることも大きな要素となったようだ。
相澤氏は、「岩手、宮城、福島の3県に絞るという意見もあったが、やはり東北全県で考えて行こうと意思を共有しました」と話す。
10人いれば10通り、100人なら100通りの色んな考えや意見があるが、3年前の21世紀枠出場から生まれた“絆”というのも一つの考え方のように、会見を通じて感じられた。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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