Column

トレーニングに最適な時間帯

2013.09.30

食事直後のトレーニングは胃腸に負担をかけやすい

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

皆さんのチームではトレーニングを行っているでしょうか。年間通じて計画的に行っているところ、オフシーズンを中心に集中的に行っているところ、雨天時などグランドでの練習ができないときに時間を設けて行っているところと、いろんなケースが考えられます。

今回はトレーニングを行う時間帯や、技術練習との兼ね合いについて考えてみたいと思います。

◆食事時間とトレーニング
技術練習やトレーニングに最適とされている時間帯は諸説ありますが、1日のうちで最も体温が上がっている午前11時から午後5時ごろとされています。食事時間との関係で考えてみると食事直後のトレーニングは避けたほうが良いでしょう。食事後の身体は、食べ物を消化吸収するために胃腸に血流が集中している状態です。この状態でトレーニングを始めてしまうと筋肉にもより多くの血流を送らなければならず、胃腸の働きに影響を及ぼし、消化不良や腹痛などを起こしやすくなります。

またしばらく何も食べていない状態でのトレーニングもあまりいい時間帯とはいえません。空腹時には血液中の糖分が不足し、十分なエネルギー源が少ない状態なので、このまま激しいトレーニングを行うと人によってはめまいを起こしたり、注意力散漫になってケガをしたりといったことが考えられます。食事後2~3時間ほどたった頃が、トレーニングには最も適しているといえるでしょう。

ただし授業やクラブ活動時間などの関係で、こうした時間帯にトレーニングを行うことそのものが難しいということも多いでしょう。朝練としてトレーニングや技術練習などを行うこともあるかもしれません。こうした場合には、おにぎりやパンといった軽食や糖分を含む飲み物(スポーツドリンク等)、バナナなどの果物を食べ、エネルギー源を確保してからトレーニングを行うようにすることをオススメします。


トレーニング後に使った筋肉を刺激するスイング

◆技術練習とトレーニング
よく質問を受けるのは「トレーニングと技術練習、どちらを先にやったほうがいいですか?」というもの。これはトレーニングと技術練習のどちらに重点を置いているかで変わってきます。身体を動かし続けていると、時間とともに疲労してくることは想像にかたくないと思います。シーズン中である時期に技術練習とトレーニングを同日に行う場合は、神経系の反応がよい状態で先に技術練習を行います。その後トレーニングを行うようにしますが、休息時間を設けること(30分~1時間程度)、エネルギー源確保のため軽食等をとることを心がけましょう。

オフシーズンで体力作りをメインに考える場合は、トレーニングをまず練習時間のメインにしましょう。疲労していない状態で神経系のドリル(敏捷性)や瞬発力強化の種目をまず行い、そこから筋力強化、筋持久力強化といった種目に移行します。その後、食事(軽食)をとり、時間をあけてから技術練習を行うようにしましょう。この場合、技術練習では筋肉への負担がかなり大きくなりますので、切り返し等の敏捷性を要するものや瞬発力を必要とする動作は要注意です。入念にウォームアップを行った上で行うようにしましょう。トレーニング後の練習には動作の確認を行う基本練習などが向いています。

シーズン中に行うトレーニングのタイミングとしては「技術練習 → 休憩 → トレーニング」がオススメですが、トレーニング後に筋肉に負担の軽い技術練習を行うこともあります。特に素振りやシャドーピッチングは繰り返し行う動作なので、実際の動きを行い、トレーニングした筋肉に対し刺激を与え、教育するために行います。このケースでは、筋疲労を考慮すると、反復練習を数多くやるというよりは、動作を確認する、チェックするといったことに主眼を置きましょう。

トレーニングを行う時間は環境、天候、時期等さまざまな要因によって制約を受けますが、その中でよりよい時間帯を選んで行うようにしてくださいね。

【トレーニングに最適な時間帯】
●活動量の多い時間帯(午前11時~午後5時頃)であればベスト
●食後であれば胃腸への負担を考慮して、2~3時間後に行う。
●空腹時は血糖値が下がりエネルギー源の少ない状態。軽食や果物などをとってから行おう
●シーズン中は「技術練習 → トレーニング」がオススメ
●オフシーズンでは「トレーニング → 技術練習」
●トレーニング後の技術練習は筋疲労を考慮する

(文=西村 典子

次回、第78回公開は10月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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