Column

行動思考になるために!結果思考との壮絶な戦い

2015.03.02

遠藤友彦の人間力!

 練習試合が目前となった今、どんなことを考えて準備を重ねればいいのか。関東圏から西であれば3月の試合解禁時にすぐに練習試合をすると思います。できればチーム内でもスタートダッシュをして自分の立ち位置を確保したいものです。

成果を出すためには「成果の出やすい形」を修得する

室内練習の様子(仙台育英)

 冬の期間は「じっくり」練習できた選手が多かったはずです。試合が行われない期間の練習は、自分の形を作り上げる時間としては絶好です。結果を考えることなく、着実にいい練習ができたことでしょう。

 成果を出すためには、「成果の出やすい形」をまずは習得する必要があります。以前のコラムを振り返れば「形」についても書かれているので、もう一度読み直すのも良いでしょう。形があれば変化も可能ですが、形なきものに変化は期待できません。

 打撃に関して考えていきましょう。

1.素振り
2.トスバッティング(ティーバッティング)
3.マシンバッティング
4.紅白戦
5.練習試合
6.公式戦
7.最後の夏大会

 というように、1.の素振りで形の習得ができていても、2.トスバッティングで球を使う練習のときにできるかどうかになります。2.のトスでできても、3.マシン練習でその形ができるかどうか・・

 数字が大きくなるごとに、結果思考が強くなっていきます。野球は結果思考との戦いです。結果を考えて結果を出せるのは、相手が弱いときだけです。対戦相手のレベルが上がれば、結果を考えれば不安感情になり身体が動かなくなります。

 最後の夏大会でいかに行動思考で試合ができるか。自分の力を最後の最後で発揮するためには、最後まで行動思考で野球ができるかどうかが鍵となります。

 逆方向に打つということも、単純に当てるだけではヒットになりません。逆方向に意識を向けながら、やるべき動きに意識を集中できることが大切です。

「あの方向に打つ」という心を持ちながら、深めトップで1秒ボールの見極めをして、狙い球がくればインサイドアウトで球を捕手寄りに引きつけて振り抜く・・結果的にやるべきことをして逆方向に打球が飛ぶ。これが行動思考の成果です。

 考えることを考えずに「逆方向に打つ」ということは、言い換えると結果思考です。「そこに打たなければいけない」という考えでは身体に緊張が走り、自分の思い描く動きができなくなります。

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[page_break:たどり着きたい目標を明確にして行動することが大切]

たどり着きたい目標を明確にして行動することが大切

たどり着きたい目標を明確にし、何をすべきか

 試合が始まれば、チーム内の競争も激しくなってきます。起用されると「ここで結果を出したい」と強く思うがあまり、冬に意識してきたことが打席内で考えられなくなります。結果的に結果が出ずに、「あんなに練習したのに」と落ち込みます。

 場合によっては今までしてきたことを否定して、成果の出せるやり方を練習試合が始まった途端にやめる選手もいます。今までの積み上げが無駄になる瞬間です。

 1から7の段階を考え、都度、結果思考との戦いをしていくのが選手です。とくに結果を意識する試合となれば意識することが薄れていきます。競争の中でも自分がしてきたことを試合の中でも考えながらプレーできるかです。

 試合が始まったときにこの「結果思考での挫折」をする選手がほとんどです。
こういった結果思考との戦いがあると知っている人は意識の修正ができます。しかし、知らない選手は「どうして」と迷い、マイナスのスパイラルに入り込みます。

 目標達成を考えると、逆算方式がベストです。たどり着きたい目標を明確にして、何をすべきか決めて行動していきます。しかし、プレーに関しては逆算方式が強いと結果思考でうまくいきません。
プレーは積み上げ方式で、やりたいことを考えつつ、すぐに考えと行動(何を意識して、何をどのように動かすのか)に集中するとよいでしょう。

 練習試合で積み上げ式考え方でプレーできても、本番でもまた新たなハードルがあります。「ここで結果を出したい」と思うのが選手です。

 無意識に行動思考でプレーできれば、余裕を持ちながら自分が思い描いた動きができるはずです。試合では技術をいかに発揮するのか・・の裏側に「結果思考との壮絶な戦い」が繰り広げられています。
「自分の中に敵がいる」ということはよく聞きますが、「自分の心が考える結果思考との戦い」が正確な表現かもしれませんね。

 自分の中での戦いを制する選手が、チーム内の競争で勝利し、最後の夏の挑戦権を獲得していくことでしょう。練習試合が始まれば、今回のコラムを何度も読み直してプレーして欲しいと思います。

(文=遠藤 友彦

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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