城南vs城西
守備タイムを追え、守備位置へ散る城西
城南・竹内勇太、前途多難のマウンド復帰戦
試合を動かしたのは城西。ストライクを取るに汲々としている城南エース・竹内勇太(3年)の立ち上がりを攻めこんだ。1番・津田悠(3年)、2番・南元規(2年)の連打に続き、3番・加藤裕介(2年)の右中間3塁打で2点を先制した彼らは、さらに6番・村本智也(3年)の初球スクイズで追加点。センバツで1勝を上げた第1シードを大いに慌てさせる。
ただし城南もすぐに反撃。竹内以上に制球に苦しむ相手エース・津田から3四球と野選を絡め1点を返す。さらに急遽遊撃手からマウンドに上がった尾田景祐(1年)から、6番・岩本翔太(3年)が満塁走者一掃のレフト線3塁打を放って逆転すると、あとは危なげなく5回途中で10安打13得点を奪いコールド勝ち。終わってみれば春夏連続甲子園へ向け、順調なスタートを切った。
■ピックアップコラム
「6月に脇腹痛から復帰してから、練習試合には3試合くらいしか登板していません。でも彼的には絶好調らしいですよ。この前、球場練習をしたにもかかわらずブルペンに上がらなくて。それでも『大丈夫です』と言っていたくらいですから」。
試合前にエース・竹内勇太(3年)の状態について話してくれた城南・森恭仁監督。その表情は、竹内が3回途中、4失点でマウンドを降りた春季四国大会・明徳義塾戦後に見せた怒りを通り越し、笑みすら示すものであった。
かくしてあらかじめ打撃陣にも「3点くらいは取られるから、リードされても焦るな」と指示を送っていた森監督。その予測は、「1番からの4人で勝負するイメージ通り」(城西・鳴川真一監督)の3点ビハインドと、望まざる形で的中することになったのである。
しかし、それが竹内の薬になったかといえばやや疑問符が付く。自身は試合後「1回は変化球が高めに抜けたところを打たれました。ツメの甘さを教えてもらいました」と語ったが、2回こそ3者凡退ながら、3回は2四球1安打、4・5回も1安打ずつを浴びるなど、勝負球甘く入る傾向は逆転した以後も変化なし。試合後「お先真っ暗」と指揮官が自嘲気味に嘆くのもいわば当然だった。
これがノーマークの選手であれば、なにもここまで書く必要はない。ただ、竹内は夏を終えれば日の丸を背負って戦う可能性のある、四国高校球児の目標とされるべき実力者である。もし「仲間に悪いと思う」意識が彼の中に本当にあるのであれば、今一度「エースの責任」について考えてもらいたい。
力を出し切れず、後悔の涙を流すことになる前に。
(文=寺下友徳)