試合レポート

春日部共栄vs狭山ヶ丘

2011.07.25

春日部共栄 6年ぶりにベスト4進出!

 24日大宮県営の第2試合。4強入りをかけた狭山ヶ丘。対するは強豪春日部共栄

  春日部共栄。初回エラーで走者を出すが4-6-3と渡り3人で凡退。2回もヒットの走者が2塁盗塁を刺された後にヒットが出るなどちぐはぐな展開。
狭山ヶ丘・先発は櫻井。この大会5試合を一人で投げ抜いた右腕。今大会NO1と評判の高い3番・小泉を強気な内角攻めで5打席をノーヒットに抑える好投。低めのスライダーが効果的に生きた。
 0-0で迎えた4回、小泉をセンターフライに仕留めた直後。4番に入った2年生の鎌田を向かえ、カウント2-1から勝負のストレートが真ん中に入る。鋭く振り抜いた打球は高く舞い上がり、99メートルのレフトフェンスを軽々と越える特大の1発。均衡が破れ春日部共栄が1点先行。

 狭山ヶ丘の打線も竹崎を攻め、1回は1死二塁。2回は2本のヒットに相手エラーを絡め1死満塁と絶好のチャンス。迎えた9番・桜井も強気に初球を果敢に狙った強い打球は三塁正面。5ー4-3と渡り、一瞬にしてチャンスが潰れた。
 更に2点を追う5回。四球と相手エラーから1死二・三塁と攻め、大森のセンター犠牲フライで1点返し、1点差に詰め寄る。続く6回。2本のヒットとバントで一・三塁。1番・阿左美のラーナーは投手正面に。1-3とまたもブルプレー。不運な一打と言うには余りにも・・・・。
 狭山ヶ丘の不運は7回にも続く。2番・佐藤の当たりは二塁頭上のライナー。3番・佐久間はショート頭上を襲うライナー。何れも相手の好守に阻まれた。

緊張の糸が切れたか?その直後。
 先制本塁打を放った鎌田が左中間を破る二塁打で出塁。バント送った一死三塁。2-1から強攻した竹澤の当りは緩い三塁ゴロ。三塁手が懸命にホームに投げるが間一髪セーフ。ダメ押しの3点目が入る。更に死球の後、タイムリーエラーが出て4点目。試合を決めた。

 狭山ヶ丘の打線も粘る、8回先頭がヒットで出るが後続3人が外野フライに倒れた。4-1とリード去れた9回。最後まで諦めない打線は、1死から脅威の執念で、ライト前、レフト前ヒットに四球で2死満塁と最後の粘りを見せたが、最後は春日部共栄の先発・竹崎の気迫が上回った。

 春日部共栄の5回の2点目は、1死一塁からのエンドランがかかった右中間のヒット。ライトが三塁で刺す勢いで前進してはじく。これを見で一旦三塁に止まった走者が一気にホームを駆け抜けた。この辺りのプレーは日頃の練習と経験の差が出た。
 強豪校にはそれなりの背景にある、目的意識を高く持ち厳しい練習に耐え抜いた選手だからこそのプレーと感じる。接戦の勝負どころの一番に平常心でプレーすることは容易では無い。勢いを掴みベスト8まで勝ち進んできた狭山ヶ丘であるが、まだ甲子園常連の春日部共栄と力の差は否めない。
 この敗戦を契機とし、ギリギリのプレッシャーの中で冷静なプレーが出来る為には何が必要か?答えは練習の中から出てくる。
 ベスト8進出と一つの壁を越えた狭山ヶ丘。次のステップに進む重要な手がかりとなるだろう。

 春日部共栄の9本を上回る10安打と竹崎を攻めたが勝負ところで、ツキに見放された。4-1の得点差を感じさせず、最後まで緊迫した好ゲーム。初のベスト8入りした狭山ヶ丘の健闘は賞賛される。

(文=滝島利夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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