試合レポート

浦和学院vs健大高崎

2011.11.04

浦和学院vs健大高崎 | 高校野球ドットコム

佐藤拓也(浦和学院)

戻ってきた関東大会のマウンド

 2時間44分の長いゲームを浦和学院が制し、2年連続の決勝進出を決めた。
「もっとロースコアになるかと思っていたが、大味な試合になってしまいましたね」と振り返った浦和学院の森士監督。6回まで毎回となる11得点に関しては、「収穫」と口にした。

そんな指揮官がこの準決勝で先発のマウンドに送ったのが背番号8の佐藤拓也(2年)。昨年1年生エースとして関東大会3試合を一人で投げ抜き優勝投手になった男だ。今春の選抜以降、調子を崩して本来のピッチングが出来なくなり、大事なゲームで登板できないでいた佐藤が、意を決したように関東準決勝のマウンドに上がった。

1回表。小石澤重人球審がプレーボールを宣告しても投球モーションに入らない佐藤。「自分の良いリズムで投げたいと思った」と一呼吸置いて、フッと息を吐いて第1球を投じた。球はスローカーブでストライクを取る。

これで少し楽になると、その後もポンポンとストライクを取れた。二者連続三振と最高の立ち上がり。
しかし、3番の長坂拳弥(2年)にファースト強襲の内野安打を浴びると、4番の内田遼汰(2年)にはフルカウントからの6球目をレフトスタンドに運ばれた。
少し苦笑いを浮かべた佐藤。投げる喜びと、不安が交錯しているようでもあった。


浦和学院vs健大高崎 | 高校野球ドットコム

佐藤拓也(浦和学院)

打線が『佐藤のために』と奮起し、3回には逆転に成功。打撃からリズムを作る佐藤も、3回と5回に二塁打を放つなど、好調な打線の波に乗った。

ただし、ピッチングでは5回に3四死球と崩れ、結局失点5でマウンドを降りた。
「調子は悪くなかった」と話した佐藤。森監督もそれを認めながら、「配球的に間違えたかな」と崩れた要因を分析していた。
佐藤の前に飛んだピッチャーゴロをファーストへあわや悪送球となる球を投じるなど、まだまだ不安要素は大きい。でも、準決勝のマウンドに立てたという事実がピッチャーとしての自信となれば、本当の復活に繋がるだろう。

一方、エースの三木敬太(2年)が崩れて、11失点の完敗に終わった健大高崎。ただ、あと1点取られればコールドという状況から攻守を見せ、8回には2点取って追い上げた攻撃は見事だった。

「夏はメンバー外だった選手も、あの雰囲気を体験できたのは大きい」と青柳博文監督は、甲子園の財産を実感していた。

「粘りを見せられた」と収穫を口にした長坂主将。夏の甲子園初出場から、次のチームで関東ベスト4まで進出した。

(文=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.22

【鹿児島】神村学園は鹿児島商と沖永良部の勝者と対戦、鹿児島実は大島と初戦で対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

【岐阜】県立岐阜商は高山西と対戦、同ブロックに中京<2024夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

南北海道室蘭支部が開幕!北海道栄、苫小牧中央がコールド発進【2024夏の甲子園】

2024.06.22

【愛媛】23日に抽選会!名門・松山商が1歩リード、済美、今治西が追う展開か<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.22

奈良の組み合わせ決まる!天理と智辯学園が同ブロック、春秋Vチームが4強かけて激突も【2024夏の甲子園】

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.18

昨夏甲子園出場の東海大星翔進路紹介!遊撃手は阪神、エースは専修大、主将はレギュラーとして大学選手権出場!

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.06.18

激戦区・兵庫の組み合わせ決定!センバツ準V報徳学園は舞子と明石北の勝者と、3連覇狙う社、プロ注目右腕・槙野遥斗擁する須磨翔風など注目校の初戦は!?【2024年夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.05.25

【長崎】長崎北、長崎日大、創成館などが勝利<NHK杯地区予選>