試合レポート

今治工vs丹原

2012.10.13

今治工vs丹原 | 高校野球ドットコム

扇の要からナインを鼓舞する今治工業主将・小川滉介(2年)

ぶれない全力疾走に進化の「狙い」で、今治工業、初の秋季四国へ

今年3月、村上満雄監督が定年退任してから約半年。初の秋季四国大会出場を手にすべく[stadium]坊ちゃんスタジアム[/stadium]に乗り込んできた今治工業のコンセプトは、いい意味で全くぶれていない。攻守交代、凡退時、伝令、ランナーコーチ、果てはボールボーイに至るまで徹底された全力疾走。応援席やベンチの「全力!」の声に呼応して走りに走る彼らの姿は「代々受け継がれてきたので切るわけにはいかない」(主将の小川滉介・2年)並々ならぬ決意の程が如実に現れるものだ。

それどころかこの秋、今治工業はさらなる進化を遂げていた。一例をあげれば1回表に一挙4点を奪った先制攻撃のシーンである。

この4月、部長から指揮官へと転じた田川文俊監督から「小笠原(嵩・2年)のシュート気味に入る外のストレートを狙っていけ」と指示を受けていた彼らは忠実にミッションを遂行。

一死一・三塁から「アウトコースのストレートを打った」4番・生谷大成(2年)の一二塁間先制打も、一死満塁の走者を一掃した6番・木村優作(2年)の中越二塁打も、「外のボールをきっちり反対側に打たれた」と丹原・仙波秀知監督に兜を脱がせるほどの徹底した「狙い」あってこそ生まれたものである。

守備面でも「狙い」は存分に発揮された。4番・越智達矢(1年)をはじめストレート系には無類の強さを発揮する丹原打線に対し、伊藤銀次(2年)、小川のバッテリー選択したのは「緩急をつけた攻め」。130キロ前後のストレートをより速く見せるべく、90キロ台のカーブを有効に使い、時には110キロ台のシンカーを決め球とすることで、相手を失策による1点に封じたのであった。

これで1946年の創部以来66年目にして初の秋季四国大会出場をゲットした今治工業。創立70周年となる同校の歴史に残る壮挙は、土佐に代表される全力疾走起源の地、高知での躍動をも意味している。

(文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】