試合レポート

真和志vs小禄

2013.03.31

3試合連続完封!27イニング連続無失点を達成した真和志・譜久村誠悟!

エースにとっての理想は相手をゼロに抑えることだ。打線は水ものと昔から良く聞くが、ピッチャーが失点をやらなければ、負けることは無い。攻撃陣も、アイツが頑張って投げている!オレらもやらなければという気持ちになるだろうし、守りでも支えてやるんだ!という心構えになってくる。言うなればピッチャーの出来ひとつがチーム全体の指揮を左右する。それを作り出すことが許された者こそ、エースの称号を受けるに相応しい。この小禄戦でも完投完封し、27イニング連続無失点を達成したエース、それが真和志譜久村誠悟だ。

苦しかった冬。負けたことを意識して走り込みを続けた

真和志vs小禄 | 高校野球ドットコム 

譜久村誠悟 (真和志)

若干1年生の夏、新チームに移行しての初の公式戦である新人中央大会で4位。そして昨年度も続けて同大会で4位に入るなどある程度の実績を積んできた譜久村。

自信を持って臨んだはずの昨年秋季県大会だったが、初戦で美里工業に足元をすくわれてしまう。3回に2点を先制した真和志だったが、直後の4回に4失点。さらに終盤2失点を重ねて3-6でまさかの敗退。余りにも早すぎた終戦は、彼の心に今までにない苦しさを漂わすこととなる。

「それを意識して走り込みしていた」と試合後に語った譜久村。試練となったあの日から約半年後の春、初戦の石川を完封すると、試合巧者の浦添商をも僅か3安打に抑えて完封。さらにこの日、小禄打線に連打を許さない5安打でシャットアウト。その間、与えた四死球が僅かにひとつ。単なる走り込みではなく、ホントに自分自身を追い込んだ練習を課していたのだろう。
それが元々強靭だった下半身を更に進化させ、三連投の疲れの中でもまったくブレない土台となり、精密機械のような抜群のコントロールを生み出した。それがこの日でも無四球試合となって生きたのだ。

甘い球を見逃さず好左腕を攻略

そんな譜久村らの前に立ちふさがったのが小禄島袋洋平。1年生ながら2試合に完投し防御率0.50を記録している好左腕だ。同じく1年から高校野球のステージで戦ってきた真和志ナインは、彼をどのように見ていたのだろうか。

試合は2回に1点を先制した真和志が3回、トップの東大貴が二塁打を放ち3番砂邉大州がタイムリー二塁打。そして譜久村もレフト前に続く。電光石火の如く4人で2点を奪ったのだが、この間の島袋の球数はたった6球だった。甘く入った初球を狙われた格好となったが、それを見逃さず積極的に打ちにいった真和志打線も褒めるべきだろう。

[page_break:35年振り3度目のベスト8!]

35年振り3度目のベスト8!

真和志vs小禄 | 高校野球ドットコム 

島袋洋平(小禄)

結局4回までに8安打を集めた真和志が島袋を攻略。投げては「ストレートが余り良く無かった」という譜久村が、カーブを巧みに使い打たせてとるピッチングで小禄打線を翻弄し完封。三連投の疲れは正直あったというが、バックを信じて投げたの言葉通り、ノーエラーの堅守でエースを盛り立てた真和志が、同校にとっては実に35年振りとなる春季県大会ベスト8進出を成し遂げた。

敗れた小禄だが、その譜久村を相手に3打数3安打と当たった比屋定壱清や、島袋をリリーフし真和志打線を無失点に抑えた新里祐太など明るいニュースもあった。2回戦で強打の南風原打線を完封した島袋や、初戦でホームランを放った池間大貴など好選手も輩出したこの春。最後の夏へ向けてより良いチームへと成長していくことだろう。

真和志・上原匡孝監督
「バッテリーが要所を良く締めてくれた。後半打ちあぐねた所を修正して、次に望みたい。基本的には譜久村の先発で考えています。疲れはあるけど、次の試合までに間が空いているので良かった」

真和志譜久村誠悟
「今日はフルカウントになる場面が多く球数(117球)も多かった。次は打たせて良い打者には打たせて(堅守ゆえ)、そうでない者との区別がピッチングに出るようにしたい」

(文=當山雅通)

小禄   TEAM   真和志
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
中堅 仲本昇平 1番 中堅 東 大貴
遊撃 渡嘉敷 健 2番 右翼 呉屋正之助
右翼 池間大貴 3番 一塁 砂邉大州
左翼 比嘉亮貴 4番 投手 譜久村誠悟
三塁 幸地勇輝 5番 左翼 美里幸希
一塁 比屋定壱清 6番 三塁 松川義孝
捕手 新里祐太 7番 遊撃 津波拓海
二塁 新垣保樹 8番 捕手 佐喜眞拓哉
投手 島袋洋平 9番 二塁 比嘉辰樹

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.04

「速さが怖かった」 センバツ4強から学んだ走塁で市立柏が千葉の上位を狙う

2024.07.04

5日に北北海道大会の抽選会!クラーク記念国際と別海が軸、接戦を勝ち抜いたチームにも勢い

2024.07.04

「学校と地域に支えられて戦う」県内有数の進学校・磐田南(静岡)、“潔く”戦って最高の夏に【野球部訪問】

2024.07.03

2度目の3連覇を目指す九州国際大付をはじめ、シードの久留米商、真颯館、沖学園も初戦に挑む、4日の福岡大会【2024夏の甲子園】

2024.07.04

5日に富山抽選会!昨年秋覇者・高岡商か、今年春の覇者・富山商か、ノーシード新湊の組み合わせにも注目<夏の甲子園県大会>

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

スコアラーが8ヵ月後エースに急成長! オリドラ2ルーキーを輩出した聖カタリナ学園(愛媛)に今年も190cm大型投手が現れる!

2024.06.30

突然の病で右半身が麻痺した「天才野球少年」が迎える最後の夏 あきらめなかった甲子園出場の夢、「代打の一打席でもいいから……」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!