試合レポート

聖光学院vs東邦

2016.08.17

東邦打線を戸惑わせた聖光学院・鈴木駿輔の強気な内角攻め!

 選手を見て嬉しいことは、自分のイメージ以上の活躍を見せること。聖光学院鈴木駿輔。春の東北大会では野手に専念していたが、実は投手も務めており、投手としては、130キロ前半のストレートを投げられるが、制球力が甘く、どちらかというと野手としての才能を評価されていた選手である。4番に座るのも本塁打を打てる長打力があるからである。[stadium]甲子園[/stadium]に入っても強打の野手として活躍を見せているが、春の時のイメージを知っているので、2試合で得点を奪っている東邦打線をわずか2失点に抑える力投を見せるのは全く想像ができなかった。

 [stadium]甲子園[/stadium]のマウンドに立った鈴木は春先とはまた別人の内容であった。立ち上がりから140キロ台を連発。春先と比べても想像以上にボールが走っている。東邦打線が差し込まれていた。投手としての登板は春の県大会以来。逆にそれほどブランクがあったというのが良かったのだろう。今やすぐに情報が伝わる世界。鈴木駿の先発は驚きだっただろう。その投手がかなり角度のある140キロ台のストレートを投げ込むのだ。戸惑わないはずがない。

 その鈴木駿に対し、打線は1回表に先制。1回表、左前安打で出塁すると、松本は盗塁、ワイルドピッチで三塁へ進むと、3番加納 皐の犠飛で先制。

 2回裏、一死一、三塁から8番鈴木理央の右犠飛で同点に追いついつかれるが、5回表、聖光学院は1番松本の左越え三塁打から2番小泉徹平の犠飛で1点を勝ち越すと、6回表には5番鎌倉誠の二塁打と6番中屋 大輔のセーフティバントで無死一、三塁のチャンスを作ると、7番西川将也の左越え二塁打で1点を追加し、さらに9番瀬川 航騎の中前適時打で1点を追加し、4対1とする。さらに7回表、磯辺怜也の適時打で5対1と点差を広げた。

 鈴木駿は、135キロ~140キロ前後の速球を強気にインハイへ投げ込むことができていたこと。投手は低めに集めることが大事というが、鈴木駿の場合、ほとんどのボールが高い。ただ東邦は全体的にローボールヒッターが多く、弧を描いてスイングする選手が多く、インハイに対して窮屈になる。外角球を気持ちよく振り抜いていたこれまでの2試合と違って、自分たちの強みを消された試合だったかもしれない。

 8回裏、藤嶋健人に適時二塁打を打たれ、2点目を取られるが、9回裏も相手の大応援に屈することなく、強気な攻めを繰り返し、2失点完投勝利を収めた。

 今日の角度あるストレートは、まさに見応えがあり、野手としての才能も評価していたが、投手としても、面白い素材として映った。投球を見るとコントロールはアバウトだが、そのアバウトさを補う球威が鈴木駿にあった。次のステージで投手を続けるならば、自慢のストレートに磨きをかけていきたい。

(文=河嶋宗一

聖光学院vs東邦 | 高校野球ドットコム
注目記事
第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.01

21世紀枠でセンバツ出場経験のある豊橋工科が今年の公式戦初勝利!海陽学園は1年生右腕の力投実らず【24年夏・愛知大会】

2024.07.01

【夏の甲子園・関東地区好カード一覧】帝京と堀越、健大高崎と桐生第一が同ブロックに!東東京・群馬で大注目の序盤戦!

2024.07.01

とわの森三愛、立命館慶祥などが代表、出場16チームが出揃う【南北海道大会出場校一覧】

2024.07.01

首位・広島を牽引する「2016年ドラフト入団4人衆」! 8年の時を経て……外れ外れ1位、下位指名選手が大きく飛躍!

2024.07.02

北海道で本塁打が半減! 札幌支部では3分の1以下に……新基準バットの影響か、それとも【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!