春日部共栄vs鷲宮
春日部共栄、コールドで鷲宮を下し県大会進出
![春日部共栄vs鷲宮 | 高校野球ドットコム](/hb/images/report/saitama/20160912007/photo01.jpg)
山本(春日部共栄)
新人戦東部地区大会決勝まで進み、今大会も優勝候補の一つである春日部共栄対鷲宮との一戦、春日部共栄・山本、鷲宮が渡邉善と両エースが先発し試合が始まる。
山本は、長身だがアンダースローの投手のような投球動作から、腕だけはサイドハンドで投げる。最速は目測で130キロ前後の直球にスライダーなどを交ぜる技巧派右腕だ。一方の渡邉善もサイドハンドから繰り出す直球は最速120キロ中盤ほどであり、スライダーなどの変化球中心で打たせて取るタイプの右腕と、どちらも似たようなタイプの投手の対戦となった。
先制したのは春日部共栄。
2回裏、この回先頭の山本が四球を選び出塁すると、続く又吉がきっちりと送り一死二塁とする。ここで6番・矢田がセンター前へポトリと落ちるヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げるが、一塁走者・矢田が牽制に誘い出されてしまう。だがここで鷲宮内野陣が乱れ挟殺プレー中に一塁へ悪送球を放り春日部共栄にラッキーな形で先制点が入る。
春日部共栄は3回裏も、この回先頭の仁部がライト線へ二塁打を放ち出塁すると、続く川畑がきっちりと送り一死三塁とする。ここで2番・金子がセンターへ犠飛を放ち2点目を奪うと、5回裏にも先頭川畑の左中間への二塁打を放ち無死二塁に。続く金子がレフト前タイムリーを放ち3点差をつけ試合の主導権を握る。
一方の鷲宮も6回表、この回先頭の千葉がレフト前ヒットを放つと、一死後、4番・小島もセンター前ヒットを放ち一死一、二塁とするが、あと一本が出ない。その裏、鷲宮・渡邉善が春日部共栄打線に捉えられる。
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渡邉善(鷲宮)
6回裏、一死から7番・斉藤がセカンドへの内野安打で出塁すると、続く高橋がきっちりと送り一死二塁とする。ここで、9番・仁部がライト前タイムリーを放ちまず1点。さらに、続く川畑が四球を選び一死一、二塁とすると、続く金子の内野ゴロが相手チームのエラーを誘い、その間に、一塁走者・川畑まで本塁に生還し2点を追加する。これで完全に試合の流れを掴んだ春日部共栄は、谷島、山本の連続長短打が飛び出し8点差とし大勢は決した。
投げては、山本が序盤こそ、やや不安定な内容であったが、相手のバントミスなどに助けられながらも結局6回4安打無失点で切り抜ける。春日部共栄ベンチは7回表一死で、山本を降ろし、二番手に渡部、三番手に熊田をマウンドへ送る。熊田は、この場面を併殺で切り抜ける。結局春日部共栄が7回コールドで鷲宮を下し県大会へ駒を進めた。
まずは鷲宮だが、渡邉善が中盤まで毎回スコアリングポジションに走者を置き進められながら、最少失点で切り抜ける粘りのピッチングを見せていた。だが、この日はその他の野手がチャンスで2併殺に倒れ、犠打のミスや守備も乱れるなどやや足を引っ張ってしまった印象だ。公立高校が強豪私学に勝つためには、確実性のあるバントや堅い守備は必要不可欠だ。それだけに、まずは基本に忠実にバント練習や守備練習から取り組むべきであろう。
一方の春日部共栄だが、打線は山本、又吉を中心とし、脇を固める打者も振れている。投手陣も右サイド山本にオーソドックスな右腕で熊田・鷹休・内藤、左腕も渡部・大木と揃い、実にバリエーションに富んでおり充実している。これは相手も対策を立てにくい布陣だ。だが、期待の1年生左腕コンビ渡部、大木が共にピリッとしないのは誤算か。特に、鳴り物入りで入学した渡部はまだ調子に波がある。その渡部も一冬越せば安定感も増し、スピードも出るようになるであろうが、現状では先発を任せるにはやや心許ない。当面は山本が投打の柱となりそうだ。
(文=南 英博)