城西大城西vs都立城東
城西大城西、3度のビッグイニングで、城の東西対決を制す
後藤(城西大城西)
都立城東と城西大城西という、城の東西対決。東京が東西二代表になった1974年の夏の甲子園大会では、後に広島の遊撃手として活躍する高橋 慶彦投手を擁し、初代の東東京代表になり、79年の夏の甲子園では準々決勝に進出した実績のある城西大城西であるが、近年の実績では、都立城東に水をあけられている。しかしこの秋は、好投手・後藤 茂基を擁し、名門復活が期待されている。
一方この夏の東東京大会ベスト4の都立城東は、エースの小林 甲汰が本調子でなく、身長164センチ、体重54キロと言う小柄な背番号10の左腕・皆川 友汰が主戦投手になっている。それでも皆川は、2回戦錦城学園戦は失点1で完投するなど、球威はそれほどないものの、丁寧な投球で、チームの3回戦進出の原動力になっている。
しかし城西大城西は、皆川の緩い球を、しっかり溜めて打ち返し、初回で試合をほぼ決めてしまった。
1回表城西大城西は、2番野口 直輝の左前安打、3番三枝 諄輝の四球に続き、4番筒井 奏羽の左中間を破る二塁打で1点を先制すると5番清水 綾太の中越えの二塁打で2人を還し、6番後藤は四球、7番須永 航平は一ゴロで走者は二、三塁に進み、8番土屋 瑠世の中前安打で2人が還り、1回表に城西大城西は5点を入れる。
しかしこの大量点で城西大城西のエース・後藤は「気の緩みということではありませんが、かえって力んでしまって」と語る。
1回裏都立城東は2番河合 和也の死球、3番田中 颯人の中前安打、4番茂木 郁己の四球で満塁とし、5番宮坂 隆吾のライトオーバーの二塁打で2人が還り、6番佐藤 良祐の遊ゴロの間に茂木も還り、5対3とする。初回をみた感じでは、乱打戦の様相を帯びていた。しかし城西大城西の後藤は、「ショートから『力が入っている』と言われ、意識しました」と語るように、2回以降は力が抜け、本来の力のあるストレートに、スライダー、カーブと、左右を有効に使った投球で、都立城東打線を抑えるようになる。
皆川(都立城東)
一方都立城東の皆川は、球威がさほどあるわけではないので、タイミングが合ってしまうと苦しい。3回表、7番須永の中前安打で1点を献上し、8番土屋に四球を出したところで、降板。本調子ではないエースの小林が登板した。しかし小林も1番高橋 泰雅、3番三枝に二塁打を打たれ、城西大城西は3回表に5点を入れる。
城西大城西は6回表に濱比嘉 遼一の二塁打などで4点を入れ、14対3と10点差がつき、コールドゲームが成立した。
都立城東にしてみれば、自分たちの野球ができないまま、大量点を取られた感じだ。まずは夏の大会で好投したエースの小林の完全復調が待たれる。前のチームは秋から春にかけて、チームは急成長を遂げた。夏を経験した田中颯、宮坂など力のある選手がいるだけに、力を付けて、また自由奔放な都立城東野球をみせてほしい。
一方城西大城西は、秋は久々の準々決勝進出である。高野 勝監督は、高橋 慶彦投手を擁して夏の甲子園に出場した時は、この学校の1年生であった。それだけに、名門復活への思いは強い。それでも選手たちには、「平常心でやってほしい。気持ちの強さを持って、自分たちの野球をやってほしいです」と語る。次の相手は国士舘。エースの後藤は、「国士舘の応援に負けないよう、集中力を持って戦いたいです」と抱負を語る。ともに甲子園で実績を残している学校同士、本当の意味での名門復活をかけた、熱い戦いを期待したい。
(文=大島裕史)
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