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目指せ「東京制覇」!8人の大所帯で選手をサポート! 日本大学鶴ヶ丘高等学校

2016.11.25

 2014年、夏の西東京大会を制し、2008年大会以来6年ぶりの夏の甲子園出場を決めた日大鶴ヶ丘今年の秋の都大会初戦では同大会ベスト4となった都立日野に惜しくも逆転負けを喫し、少し早く迎えたオフシーズンであったが、来シーズンに向けトレーニングに励んでいる。今回は、そんな日大鶴ヶ丘の野球部を支えるマネージャーたちにお話を伺った。

活動を通じて日々成長

三浦 梨奈さん(日本大学鶴ヶ丘高等学校)

 日大鶴ヶ丘グラウンドは校舎から徒歩5分ほど離れた場所にあり、授業が終わると部員たちがダッシュでグラウンドに駆けつけ、練習の準備を開始する。その中に、女子マネージャーの姿があった。3年生が引退する前は計10人。現在は2年生5人、1年生3人の計8人という、自慢の大所帯で活動している。

 急いで着替えを済ませると、すぐに野球部員たちが飲むドリンクを作り、ゴミ出しなど掃除を始める。その手際の良さもあってか、あっという間に部員たちは練習を開始した。

「準備を早くすることを心がけてやっています」そう語ってくれたのは、チーフマネージャーの古田 桂さん。練習前の準備はもちろん、帰りの準備や試合後の移動も、部員たちより早く支度できるように心がけているという。

 古田さんがマネージャーになったきっかけは、2010年西東京大会決勝早稲田実業vs日大鶴ヶ丘の一戦。当時小学5年生であった古田さんは、部員である兄を応援するため[stadium]明治神宮球場[/stadium]へ足を運んだ。試合は0対3で惜しくも敗退を喫するが、2年前と同じ対決ということもあり壮絶な戦いとなった。そんな試合をスタンドから見ていた古田さんは、その後もその試合が心に残っており、入部することを決めた。

南 さゆりさん(日本大学鶴ヶ丘高等学校)

 古田さんたちの主な仕事は、練習中のボール出しや、毎週月・水・金に行われる体重計測の管理。体重計測は毎回グラフにまとめて、部室に掲示している。そして練習後は総勢78人(2年生46人、1年生32人)のプロテインを作るというのが、1日の活動の流れだ。

 外野ノックのときのボール出しが終わると、全部員が「ありがとう」とマネージャーに対してお礼を言う。その瞬間は三浦 梨奈さんにとってやりがいを感じる瞬間でもある。南 さゆりさんも「選手たちにお礼を言われたときが一番やりがいを感じます」と、裏方の仕事ではあるが、日々やりがいを感じながら活動していると語った。

 また、スコアの入力をPCで行っているというのも、日大鶴ヶ丘の特徴の一つ。PCで入力したデータは顧問の先生に提出し、印刷したものを選手たちに定期的に配る。ICT教育が拡大していく中、野球部もこのように時代の変化に対応していたのだ。

 そんな日々の活動を通して、自分の成長を実感できる瞬間があると、岡崎 舞さんは話してくれた。「練習試合のときとかに、相手チームに渡すメンバー表をあらかじめ準備しておくなど、先を見て行動できるようになりました」

 部活動外でも、怪我や体調が悪い人の処置対応ができるようになったり、気遣いができるようになったりと、マネージャーという仕事を通して選手たちと同様に成長を見せている。「私たちは裏方の仕事がメインなので、家でも掃除とか料理をするようになったんです。野球部のマネージャーになっていなかったら、これらのことはできていなかったんじゃないかなと思います」

[page_break:「東京制覇」への願いを込めて]

「東京制覇」への願いを込めて

日大鶴ヶ丘自慢のお守り

 日大鶴ヶ丘野球部マネージャーのもう一つの特徴といえば、クオリティの高いお守り。お守りを選手たちにあげたときに喜んでもらえることは、マネージャーたちにとっても楽しい時間の一つだ。

「私たちの代では、毎大会お守りを作ってプレゼントしています。今秋のお守りは、7月末くらいからデザインを考えたりして、約3週間かけて作成しました」

 お守りは毎回違うデザインになるように工夫をしているとのこと。 選手たちのエナメルバッグを見ても、付けているお守りの数は 他チームと比べて多い。毎大会作成しているということで、その数も自慢の一つ。チームの目標にしている「東京制覇」への思いをたっぷりと込めて作ったクオリティの高いお守りは、選手たちを思っているからこそ作成できるもの。選手たちにとっても大きな励みになっているに違いない。

 そんなマネージャーたちにとって一番印象に残っている試合を伺うと、今夏の大会でメンバーに入れなかった3年生が毎年行う、国士舘との引退試合だ。毎年夏の大会前に行われているのだが、今年は夏休みの終わりに行われた。「3年生はすでに髪が伸びていて、引退してしまうんだなという実感が湧きました。試合が終わったあとに、国士舘の選手たちも全員集まってワーってやっていたのですが、その姿がすごく心に残っています」と、3年生の引退する姿に感動したと語る。

古田 桂さん(日本大学鶴ヶ丘高等学校)

 試合中の思わずキュンとする仕草について伺ったところ、「マウンドで投手が帽子をとって汗を拭う仕草」や、「試合で打点を決めた選手にスタンドから声をかけたときに、その選手が帽子をとってお礼をするとき」、「グラウンドへ走って行くときの姿」などが挙がったが、一番多かったのが捕手の仕草だった。クロスプレーや二塁で刺すときにメットが取れる瞬間など、緊迫した場面でのそういった活躍には思わずキュンとしてしまうとのこと。そういったプレーを近くで見れるというのは、マネージャーの特権でもある。

 どんなマネージャーになりたいかという問いに対しては、「信頼されるマネージャーになりたい」と答える古田さん。そのために、日々の活動の中では「気遣い」を心がけていると言う。部活動外や帰り道などで、選手とはあまり野球の話をしないというのも気遣いの一つ。聞かれたら答えるけれど、選手たちのことを考え、これからも気遣いや気配りには気をつけていきたいと語った。

 些細な気遣いも、8人のマネージャーの力が合わされば、チームの力に大きく貢献するだろう。自分たちは選手たちのように結果を出すことはできないが、選手たちからの感謝の言葉や、活動を通しての自分の成長にやりがいを感じながら活動している日大鶴ヶ丘のマネージャーさんたち。3年ぶりの「東京制覇」を目指し、マネージャーも一丸となって来シーズンに挑む。

 日本大学鶴ヶ丘高等学校野球部の皆さん、ありがとうございました!
「東京制覇」目指して頑張ってください!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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