聖望学園vs西武文理

本塁打を打った島村（聖望学園）

　埼玉県の西部地区は、実力校が非常に多い。市立川越、聖望学園、狭山ヶ丘、山村学園、川越東など。こういう学校がひしめき合うのだから、西部地区のレベルは一段と高まる。今年も西部地区では、昨春ベスト8の西武文理と昨夏準優勝の聖望学園の一戦が行われた。

　序盤から試合が動く。2回裏、聖望学園は西武文理の先発・宮本を攻め立て、一死一、三塁から7番吉川の適時打で1点を先制すると、8番和田の内野ゴロの間に1点を追加、9番西澤の適時打で3対0とする。西武文理は投手陣の中で最も球威がある宮本を送り込んだが、聖望学園の打撃を封じることはできなかった。

　反撃したい西武文理は、6回表、4番横山の本塁打で1点を返すが、6回裏には　聖望学園は1番打者ながら長打力はチームトップクラスの島村京佑の本塁打、7回裏には国領の本塁打で5対1と点差を広げた。

　さらに8回裏、4番大野が右中間へ適時打を放ち、5番松本が右翼線を破る適時二塁打を放ち、二者生還。サヨナラ勝ちを収めた。

　投打ともにレベルが高い。本塁打を打った1番の島村は、体格も良く、しっかりとトップを作って、無駄のないスイングから的確にボールを捉えることができる左の強打者。今後の活躍が見逃せない打者だ。

　そして先発の西澤海（3年）は、171センチ80キロとがっしり体型の本格派右腕。内回りのテークバックからスリークォーター気味に投げ込む投手で、常時135キロ前後（最速138キロ）を計測するストレートと、小さいスライダーをコンビネーションにする投手だ。調子が良い時は、141キロまで計測するという。昨秋、県大会で敗れてから、スタミナをつけるために、グラウンドから8キロほどの距離にある入間市にある自宅まで走って通学をしてきた西澤。下半身がしっかりと鍛えられ、完投ができる投手となった。この試合では5回途中まで被安打9と、ストレートが高めに浮いてしまい、課題が残るピッチングとなった。県大会までどこまで復調できるか注目だ。また聖望学園には、背番号11の佐藤祐哉も最速142キロを計測する速球派右腕で、さらに180センチ72キロと上背もあり、ぜひ覚えておきたい逸材だ。

　敗れた西武文理は、10安打を打っているように、聖望学園の投手陣にくらいつく打撃力は身についていて、スタメン出場の選手たちのコンタクト能力、スイングの強さ、打球の速さは高いレベルを誇っており、県大会でも十分に戦えるチームだ。しかし得点は4番横山の本塁打による1点のみに終わった。夏、躍進を果たすためにはあと1本を打つ勝負強さが問われるだろう。

　コールドで敗れたが、登板した投手のほとんどが125キロ前後で、コントロールも悪くなく、しっかりと勝負できる投手が揃っている。夏へ向けて投打が整備されれば、怖いチームであることは間違いない。

（取材・写真＝河嶋宗一）

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