試合レポート

大手前高松vs多度津

2017.07.10

大手前高松、粘る多度津を振り切り1年ぶり公式戦1勝!

 試合終了の瞬間、三塁側ベンチを飛び出した大手前高松の選手たち。その顔は守備位置からホームベースに集まる9名と同じく喜びと安堵が満ち溢れたものだった。無理もない。大手前高松にとって観音寺第一が待つ2回戦への進出は、ベスト4進出を果たした前年香川大会からほぼ丸一年ぶりの公式戦勝利だったからだ。

 2010年に硬式野球部を復活後、着々と実力を蓄え3年前の2014年には夏の香川大会準優勝。昨春は県大会初優勝。ここまで春の四国大会も2度出場を果たしている実力者ながらシードだった昨秋は志度に2対3、ノーシードの春は高松商に0対4で苦杯をなめた彼ら。自信と誇りを取り戻す特効薬は勝利以外にない。

 この多度津戦も大手前高松にとっては苦しい戦いだった。初回の好機を逸すると、2回裏には一死から多度津1番・川口 海翔(3年・右翼手・170センチ65キロ・右投左打・三豊市立三野津中出身)以下に3連打を浴びた後、内野ゴロと失策で2点を先制された。

 しかし、彼らは敗戦を通じ、チーム内で切磋琢磨を積み、選手層を厚くしていたことが明確に解る戦い方でこの窮地を乗り越えた。3回表には代打・一ノ瀬 竜徳(3年・内野手・176センチ72キロ・右投右打・香川大学教育学部附属坂出中出身)の適時打と、彼らが得意とする二死一、三塁から一塁走者が挟まれる間に三塁走者がホームを目指すトリック走塁で同点。その裏から2番手マウンドに立った黒部 亮成(3年・175センチ72キロ・右投右打・香川大学教育学部附属高松中出身)は、アンダーハンドからのライズ系やシンカーを駆使して、4回3分の2を力投。

 大手前高松、背番号二けた2人の懸命さ。これが、5回表一死二、三塁から3番・寿賀 蒼音(3年・左翼手・173センチ63キロ・左投左打・高松市立勝賀中出身)の勝ち越し中犠飛。さらに7回表一死、8番・黒部の安打を契機に9番・十河 穂岳(3年・右翼手・168センチ68キロ・右投右打・高松市立桜町中出身)の右中間適時三塁打、1番・秋山 祐成(3年・中堅手・167センチ65キロ・右投左打・高松市立玉藻中出身)の4打数4安打となる右前適時打につながったといっても過言ではないだろう。

 敗れたが、多度津の粘りは見事だった。9安打を浴びながらも109球・自責点3で完投した島田 涼也(3年・右投右打・177センチ69キロ・右投左打・三豊市立三野津中出身)の熱投。三豊市立三野津中時代からの集大成として島田をリードした4番・三谷 怜矢(3年・捕手・181センチ81キロ・右投右打)のキャプテンシー。3番・林 貢(3年・中堅手・168センチ68キロ・左投左打・三豊市立高瀬中出身)の5打数4安打含む13安打。

 特に二塁打の林を三塁に残した二死三塁から、7番・宮武 瑞季(3年・三塁手・166センチ56キロ・右投右打・三豊市立宅間中出身)の左前適時打、8番・三﨑 太雅(3年・一塁手・177センチ77キロ・右投右打・三豊市立高瀬中出身)の右越二塁打で1点差に迫った8回裏の攻撃は気迫に満ちていた。

(レポート=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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