試合レポート

大阪桐蔭vs近江

2017.11.04

大阪桐蔭が決勝進出、根尾が16奪三振完封!

大阪桐蔭vs近江 | 高校野球ドットコム
先発・根尾昂(大阪桐蔭)

【写真ギャラリー追加!】

 各府県の優勝校4校が勝ち上がった準決勝の第二試合、滋賀1位の近江と大阪1位の大阪桐蔭の試合は、両校の投手陣が走者を出しながらも踏ん張り合う展開となったが、地力に勝る大阪桐蔭が中盤の集中打で引き離し、5対0で手堅く勝利した。

 大阪桐蔭の先発は今大会初登板となる根尾 昴(2年)。中学時代に全国を唸らせた直球の迫力は健在だった。配球としては変化球を織り交ぜながら丁寧にコーナーを突くのだが、全体的には投球術というよりも、投手能力の高さで近江打線をねじ伏せているような力関係だった。1回表には2安打を許し、二死一、三塁のピンチを招くが、焦ることなく5番・山田 竜明(2年)を空振り三振に取った。

 近江の先発は林 優樹(1年)。スライダーを中心に丁寧な投球を見せるが、1回裏に守備が乱れる。まず1番・藤原 恭大(2年)の飛球が風で流され、右翼手の宮田 朋弥(2年)が捕球できずに無死二塁。一死、一、三塁から、4番・根尾の打球はこれまた浅めの平凡な右飛。今度は落下点に入っていたから、風の影響というよりは三塁走者・藤原の俊足が頭を過ぎったのかもしれない、またしても右翼手が落球してしまい、大阪桐蔭が無安打で先制した。さらに二死一、二塁から、6番・井阪 太一(2年)が右安、これも右翼手はかなり浅い地点で捕球しており刺殺できるタイミングであったが、送球が逸れてしまい二塁走者が生還して2点目。決して打ち込まれたわけではない。1安打2四球2失策で大阪桐蔭が2点を先制した。

 2回以降の林は、初回の失点で落ち着きを失うようなことはなく、毎回走者を出しながらも追加点は許さずに4回を投げ終えて、背番号1の金城 登耶(2年)にマウンドを託した。


 5回裏、大阪桐蔭の打線が金城の代わり端を捉えた。3番・中川 卓也(2年)の中安と四球で一死一、二塁の好機を迎えると、ここから6番・井阪が左中間を破る二塁打で2点、7番・石川 瑞貴(2年)の内野安打、8番・小泉 航平(2年)の左安で満塁とすると、9番・青地 斗舞(2年)も中安で続きさらに1点。4連打で3点を追加したが、この試合において大阪桐蔭打線が繋がったと言えるのはここだけである。

 6回以降は金城もまた、毎回走者を出しながらも無失点で8回までを投げ切った。2人の投手で大阪桐蔭打線を5点に抑え、しかも守備のミスが絡んでいることを考えれば、投手陣の結果は上出来だったと評価して差し支えないだろう。

 しかし近江打線が根尾を打ち崩せなかった。三者凡退は1回だけであり、残り8回のうち7回は得点圏まで走者を進めているのだが、あと1本が出なかった。いや、もう少し厳しい言い方をすれば、ギアを入れ直した根尾の投球に歯が立たなかった、得点までは2歩か3歩届かなかったという印象だろうか。終わってみれば根尾の投手成績は、7安打5四死球と走者を背負いながらも、16奪三振完封である。

 勝った大阪桐蔭は明日、強打の智辯和歌山と明治神宮大会への出場を賭けた決勝戦を戦う。負けた近江は全国トップレベルの壁を見せ付けられながらも、投手陣については確かな手応えを感じられたのではないだろうか。冬を超えて近畿、そして全国で勝てるチームに育ってくれることを期待して止まない。

(文=西村 結生

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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