沖学園vs北照
初出場の沖学園。自分たちの持ち味を発揮し、初勝利!
この夏、最激戦区の南福岡を勝ち抜き、初の甲子園出場を果たした沖学園。有名なOBは久保裕也(東北楽天)や横浜DeNAで一軍投手コーチを務める篠原 貴行氏。対するは南北海道代表の北照。北照は5年ぶりの出場となり、復活を印象付けるには大事な試合となる。
先制したのは沖学園。3回表、北照の先発・原田桂吾(3年)を捕まえ、二死満塁から4番吉村 脩希(3年)が左前適時打を放ち、1点を先制。さらに5回表には、9番平川 夏毅(3年)がレフトへ二塁打を放ち、一死二塁から2番・市川颯斗(3年)がレフトへ三塁打を放ち、2点目。さらに3番三浦彗太(3年)の左前適時打で3点目を入れた。
沖学園の打撃はなかなか高度だ。素晴らしいのは変則的で捉えるのが難しい左横手の原田に対してもしっかりとコンタクトできていること。原田は5回まで3失点を喫したがなかなかの好左腕で、プレートの一塁側に立ち、インステップ気味から踏み込んでいくフォームから繰り出す直球は常時130キロ~137キロと変則派としてはなかなかの球速。スライダー、チェンジアップの精度は高く、南北海道を勝ち抜けたのもうなづけるのだが、沖学園の打者はたとえ左サイドであっても、ベースを通る軌道は左上手、横手でも関係ないと割り切った打撃をしており、実に鋭い打球を飛ばす。
特に良いのは4番の吉村。登録では、171センチ67キロとなっているがグラウンドに立つとそれ以上に大きく見える体型。左足を大きく上げてタイミングを計り、パワフルなスイングから鋭い打球を飛ばす。コンタクト能力も高く、楽しみな打者だ。
7回表には敵失から4点目。
沖学園の先発・斉藤 礼(3年)は、いわゆる右の軟投派。右スリークォーターから繰り出す直球は常時125キロ~130キロ前後と決して速くないが、カーブ、スライダーを低めに集めるピッチング。どちらかというと変化球の割合が多めで、フルスイングをさせない投球にこだわった。5回裏に2点を失うが、一気に打力が上がる夏で、齋藤のような軟投派が勝ち上がるにはどうすればいいのか。まさにお手本というべきピッチングだった。10安打を打たれても、要所を締めるピッチングで、2失点完投勝利を上げ、初出場初勝利を挙げた。
突出した能力を持った選手がいるわけではないが、まさに攻守ともにしっかりと鍛えられており、激戦区の南福岡を勝ち抜いたのも十分にうなづける試合運びを見せてくれた。
次は大阪桐蔭と対戦。あっと言わせる野球を見せていきたい。
(記事=河嶋宗一)