試合レポート

高知商vs慶應義塾

2018.08.12

高知商が12安打10得点の猛攻で慶應義塾を粉砕! 北代は粘りの投球で2試合連続完投勝利!

高知商vs慶應義塾 | 高校野球ドットコム

 第100回全国高校野球選手権大会の8日目。第4試合は1回戦をサヨナラで勝ち上がった慶應義塾(北神奈川)と、壮絶な打撃戦を制してきた高知商(高知)が対戦した。

 140キロを超えるストレートが武器の慶應義塾のエース左腕・生井 惇己(3年)と、初戦で2本塁打を含む16安打を放った好調・高知商打線の対決が見どころの一つとなった一戦。

 試合は序盤から大きく動き出す。1回表、高知商は先頭の前田 貴友(3年)がセンター前ヒット。続く西村 貫輔(1年)はバントの構えを見せることなく、生井の低めの真っすぐを捉えて左中間へ適時三塁打。高知商があっという間に先制した。

 慶應義塾もすぐその裏。高知商の先発・北代 真二郎(3年)に対し、宮尾 将(3年)が初球をレフト前ヒット。死球を挟んで、下山 悠介(3年)も初球をレフトへ運んで満塁のチャンス。ここで4番の廣瀬 隆太(2年)が思い切り引っ張った強烈な打球は三塁手のすぐ脇を抜けるレフト前ヒットとなって同点。この時、二塁走者はレフト・藤高 祐一郎(3年)の好返球でホーム寸前タッチアウトとなったが、それでも続く根岸 辰昇(3年)はカーブをセンターへ弾き返して逆転に成功した。

 だが、高知商は2回表に猛攻を仕掛ける。一死一三塁から前田のピッチャーゴロは生井のホームへの送球がわずかに逸れ、その間に三塁走者が生還して瞬く間に同点。なおもチャンスの場面で西村はチェンジアップをレフト線へ2点適時二塁打。なおも乗松 龍之介(3年)がレフト前、5番の山崎 大智(2年)はセンター前にタイムリー。エラーを挟んで、藤田 昂志郎(3年)は甘く入った変化球を右中間へ2点適時三塁打と、この回一挙に7点を奪ってみせた。

 4回表にも、高知商は2安打と死球で一死満塁とすると、再び藤田が低めのチェンジアップをセンター前へ2点適時打を放ち、生井をノックアウト。甘い球は逃さず、難しい球にも粘り強く付いていく打撃で好投手・生井を見事に打ち崩した。さらに代わった渡部 淳一(3年)からも、北代がセンターへ犠牲フライ。9番・浜田 麟太郎(3年)も一二塁間をしぶとく抜くタイムリーを放って12対2と大きくリードを広げた。

 高知商の北代は5回裏、下山 悠介(3年)に2ランホームランを浴びたものの、味方の大量得点に守られて余裕のピッチング。7回裏は一死から走者を許すものの、慶應義塾の好打者・宮尾を手元でナチュラルに変化するストレートでピッチャーゴロに打ち取りゲッツーに仕留めるなど、序盤のリードを保った高知商が12対6で慶應義塾を下し、3回戦に進出した。

 高知商は初戦に続いて、この試合でも打線が爆発し12安打で12得点。先発の北代も中盤からは緩い変化球を上手く使い、ストレートで詰まらせるシーンも見られるなど130キロ台の真っすぐを速く見せる投球で完投した。

 慶應義塾は2番手の渡部がスライダーを中心にした投球で5回以降はスコアボードに0を並べたが、序盤の失点が響きリズムを取り戻すことができなかった。攻撃面では、ストライクの球なら初球からどんどん振っていくバッティングで初回は1死球を挟んで5連打。9回には田邊 慎之佑(3年)と杉岡 壮将(2年)の2人の代打も初球をヒットにするなど2点を奪い返したが、その一方で気合いが空回りしている感も強く、初回は二塁走者がシングルヒットでホームを狙って2度アウト。この時、返球は外野から直接ホームへ戻ってきたのにも関わらず一塁走者はいずれも二塁でストップしており、少しちぐはぐな印象を残した。また、2回表の守備ではレフト前ヒットで二塁走者の生還を防ごうと焦った左翼手がボールを後ろへ弾き、三塁で止まっていたランナーをホームへ帰してしまうなど、気負いすぎで視野が狭くなっていたように感じた。ハートは熱く、頭はクールにという言葉があるが、積極性が素晴らしいプレーを生んでいただけに、やや冷静さに欠けてしまったところは残念だった。

 初戦に続く2桁安打、2桁得点で勝ち上がった高知商。3回戦は大会12日目の第3試合で済美(愛媛)と対戦することが決まっており、ベスト8を懸けた四国対決となる。

(記事=文:大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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