Interview

神宮で大きな宿題をもらった森敬斗(桐蔭学園)課題を乗り越え、甲子園でもスーパー森を

2018.11.11

 久々の関東優勝を決め、復活傾向にある名門・桐蔭学園(神奈川)。その先頭に立つのが主将でショートストップの森敬斗である。関東大会では3本塁打を放ったが、逆転サヨナラ満塁・先制3ラン・決勝2ランとすべて大事な場面で打っている。高い注目度を浴びて大会に臨んだが、悔しい結果に終わった。

自分の良いイメージができなかった

神宮で大きな宿題をもらった森敬斗(桐蔭学園)課題を乗り越え、甲子園でもスーパー森を | 高校野球ドットコム
主将でショートストップの森敬斗(桐蔭学園)

 痛恨の試合だった。打っては無安打。守備でも失策を重ね、関東大会で見せたスーパー森はみられなかった。

 森は「自分の中で準備していたつもりだったんですけど、その準備が甘かった。」と肩を落とした。

 175センチ68キロとは思えないパワフルな打撃、俊敏な動きからの軽快な守備と強肩を生かしたスローイング。これはすべて試合前日のイメージトレーニングによって実現しているものだ。

 「試合前日までに相手のことを調べて、相手投手がどんな球を投げて、どんなコースを投げて、自分がどう打ち返すのかをイメージします。もちろん守備でもです。

 打撃について説明すると、良いイメージというのは、ホームランや遠くへ飛ばすことではなく、この場面で自分はどう打つのかなど内容面を具体的にイメージすることなんですけど、関東大会まではそれができたことで、打てる球、打つべき球をとらえることができました。ただ今回の試合はあまりイメージができなかった」

 その予感は悪い方に動く。第1打席は森にとって打てるコースがきたものの、打ち損じてしまい凡退。その後も安打が出ることはなかった。

 守備では、神宮の人工芝に備え、転がり方、バウンドの跳ね方をイメージしながら試合に入ったが、思うようにいなかった。捕球ミス、送球ミスもあり、点を献上してしまった。

 「良い準備ができていなかったと思いますし、心構えなど中途半端なところが多かったから、ああいう結果になったと思います。落ち着いてプレーができていなかった」

 終始、反省ばかりだった。森だけではなく、桐蔭学園はアウトカウントの間違いなど、痛いミスが多かった。森は「球際の執念や一球一球のすべてが試合につながっているということをミーティングで話して、これからの冬に生かしていきたいと思います」

 これまでのパフォーマンスを見れば、打撃はしっかりとタイミングが取れたときはすさまじい打球を飛ばすし、守備では深い位置からでもさせる肩の強さがある。神宮大会でもアウトにできなかったが強肩は見せた。高い潜在能力を引き出すには、打撃、守備についてどれだけ突き詰めて強化できるか、どんな舞台でも対応できる準備力があるか。森敬斗は一段階上へいくために大きな宿題を与えられたが、乗り越えることができるか。

 選抜でその成長を確かめてみたい。

 

取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.21

「10年後、日本の野球界は行きづまる」一人の野球指導者の危機感が、アマチュア球界を変える新リーグを生んだ~野球指導者・阪長友仁のビジョン前編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.6】

2024.06.21

【京都】22日に抽選会!京都外大西、京都国際が「両横綱」、龍谷大平安などが追う<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

【鹿児島】22日に抽選会!神村学園と鹿児島実の「頂上決戦」なるか<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

沖縄大会が22日開幕!八重山商工、宮古、小禄が登場、開幕戦での白星一番乗りは?【2024夏の甲子園】

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.06.18

激戦区・兵庫の組み合わせ決定!センバツ準V報徳学園は舞子と明石北の勝者と、3連覇狙う社、プロ注目右腕・槙野遥斗擁する須磨翔風など注目校の初戦は!?【2024年夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.05.23

【鹿児島NHK選抜大会展望】本命・神村学園、対抗馬・鹿児島実、2強の牙城を崩すのは?