試合レポート

東農大三vs大宮東

2019.04.24

今大会屈指の右腕、東農大三・飯島一徹登場!

東農大三vs大宮東 | 高校野球ドットコム
東農大三先発・飯島一徹

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 飯島一徹井口真之介(3年)と強力な二枚看板を擁し、投手力が充実しているAシード・東農大三が初戦を迎えた。相手は強豪・大宮東である。

 東農大三は、平日の初戦ながらブラスバンドにチア、それに一般生徒も参加した大応援団が駆け付けるなど、夏の大会の上位シード、そして久しぶりの関東大会出場へ向け、学校側もこの大会にかける意気込みは高い。

 いきなり相手が大宮東ということもあったか、東農大三はエース飯島が先発する。

 好左腕の多い今年の埼玉で、屈指の右腕となると春日部共栄村田賢一(3年)、東農大三飯島一徹(3年)の名が挙がる。飯島は身長こそ180cm前後と決して体格が恵まれているとは言えないが、とにかく全身を使うフォームからの投げっぷりが良い投手だ。

 だが、速球派にありがちな力みから制球力乱す場面もあまりなく安定している。そして課題の打線は昨秋から大幅に組み替えてきた。9番だった畔上空斗(2年)を1番に上げ、1番だった加納陸(3年)を3番、3番だった松本春樹(2年)を7番に下げ、8番、9番に新戦力の松田、西山翔大(2年)が入る。

 一方の大宮東も昨秋からスタメンの半数以上が入れ替わっており、残ったメンバーも尾島が1番、佐藤3番、鈴木を5番と打順は大幅に変わっている。そして先発はエース島村ではなく、技巧派左腕・河内を立て試合が始まる。

 飯島は元々、昨秋の時点で既にアベレージで140kmは出せる投手であったが、この日もMAXは145kmを計測するなど、直球を中心に切れの良い変化球を交え序盤から好投を見せる。

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大宮東3番手・澤田

 対する大宮東・河内の立ち上がりは不安定であった。いきなり先頭の畔上を歩かせる。ここは畔上の盗塁失敗に助けられるが、続く堀大翔(3年)も歩かせると、一走・堀はキャッチャーファンブルの間に二塁へ進み一死二塁のピンチを迎える。だが、ここで開き直ったか河内は3番・加納、4番・井口に対し、緩いボールを巧みに使い連続三振を奪う。何とか初回を無失点で切り抜けた。

 だが、大宮東・河内は立ち直れず、2回裏にもこの回先頭の飯島にセンター前ヒットを浴びると、続く小島大毅(3年)の犠打で一死二塁、さらに7番・松本春を歩かせ一死一、二塁とまたしてもピンチを招く。

 すると大宮東ベンチは飯島の出来を見て先に1点も与えられないと考えたか早くも河内を諦め、ここからマシンガン継投を見せる。次打者、右の松田に対し、2番手に右サイドの平沢を送り打ち取ると、平沢はワンポイントで、次打者、左の西山に対し3番手・左サイドの澤田を投入する。平沢、澤田は共に期待に応え、打者を打ち取りこの回をまたしても無失点で切り抜ける。

 3回裏も左打者が続くという打順の巡り合わせもあったか、澤田は続投する。澤田は期待に応え走者こそ出すが、河内と同様に緩い球をうまく使い走者こそ出すが、後続を打ち取り結局5回まで東農大三打線を無失点に抑える。



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マウンドに集まる大宮東

 一方の東農大三・飯島はなかなか走者を出しながら得点を奪えない展開も意に介せず、4回には三者三振を奪うなど大宮東打線を寄せ付けず両者無得点で前半を終える。

 迎えた6回表、大宮東はチャンスを迎える。二死から3番・佐藤がレフト前ヒットを放つと、続く左打者島村は極端に左寄りな、東農大三外野陣のシフトを嘲笑うかのように、セカンド横を破るセンター前への低い打球を放つとこれが二塁打となり、二死二、三塁とチャンスが広がる。

 だが、ここでギアを上げた東農大三・飯島は鈴木からきっちり三振を奪い得点を与えない。

 するとその裏、東農大三はこの回からマウンドに上がった4番手・杉山を攻め、この回先頭の加納が四球で出塁すると、続く井口もライト前ヒットを放ち、無死一、二塁と絶好の先制機を迎える。

 たまらず大宮東はここでエース島村をマウンドへ送る。5番・飯島はきっちりと送り一死二、三塁とチャンスを広げると、続く小島の所で東農大三ベンチはスクイズを仕掛ける。だが、小島はウエストで外され失敗に終わると、自身も凡退し得点を奪えない。

 その後は東農大三・飯島、大宮東・島村と両エースの踏ん張りもあり0対0で迎えた8回裏、ついに試合が動く。

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試合終了後、ガッツポーズをする飯島一徹

 この回先頭の堀がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く加納もセンター前ヒットを放ち無死一、二塁とする。ここで4番・井口が一死二、三塁とチャンスを広げると、この日2安打の5番・飯島は敬遠され一死満塁となる。続く小島は凡退し二死となるが、ここで7番・松本春が右中間へ走者一掃となる二塁打を放ちついに試合の均衡が破れる。

 粘る大宮東も最終回、一死から5番・鈴木琉がレフト線への二塁打を放つと、続く大久保も四球を選び一死一、二塁と最後のチャンスを迎えるが、後続が倒れ万事休す。結局東農大三・飯島は大宮東打線を4安打完封し3回戦へ駒を進めた。

 大宮東はこの日投手陣総動員でAシード・東農大三に向かって行った。これが功を奏し終盤まで0対0に持ち込みあわやという展開であった。

 試合としては総じて大宮東ペースの試合であった。だが、頼みの打線が誤算で最後まで東農大三・飯島に力負けし打ち崩せなかった。夏までに強打の大宮東打線復活へ、上位進出するために打線のレベルアップは必須であろう。

 一方の東農大三も、確かに投手陣は強みであり、守備も昨秋に比べ格段に良くなっているのだが、現状では打線の迫力不足は否めない。もちろん初戦であり、この日は変則投手にリズムを狂わされたことを差し引かなければならないが、元々東農大三のブロックは花咲徳栄聖望学園市立川越など強豪揃いである。

 それだけに、上位進出へ打順の組み替えは考えなければならない部分であろう。

(記事:南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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