東海大相模vs木更津総合
東海大相模打線vs木更津総合・篠木健太郎の攻防は予想通り大接戦に!
木更津総合先発・篠木健太郎
春季関東大会の開会式が行われた[stadium]県営大宮球場[/stadium]。春日部共栄の石﨑聖太郎の選手宣誓とともに、令和最初の関東王者を決める戦いの幕を開けた。
その開幕戦にふさわしい好カード、東海大相模と木更津総合の一戦は息詰まる投手戦となった。それを実現させたのは木更津総合・篠木健太郎と、東海大相模・遠藤成だ。
前評判が高かった篠木は、実力通りの投球。ワインドアップから流れるような美しい投球フォームからストレートとスライダーを軸にピッチングを展開。特にストレートは強打の東海大相模打線から空振りやフライを打たせるなど、手元で伸びているようだ。それも打者の近くでボールをリリースできているからこそだ。このストレートがあるからこそ、武器のスライダーは活きてくる。打者の近くで大きく曲がり、ストレートとの球速差のない篠木のスライダーは、ストレートを待つ東海大相模打線から空振りを奪う。
注目スラッガー・西川僚祐もストレートに差し込まれまいと身体の開きを早くしようと対策を練るが、木更津総合バッテリーはそれを逆手に取り、外角のスライダーで三振を奪うなど、外角中心ではあるが東海大相模打線に簡単にヒットを許さない。
一方の東海大相模は先発に背番号6の遠藤を持ってくるサプライズ。打者として注目集まる遠藤は球威あるストレートと小さく沈むフォーク、そして縦のスライダーを駆使する本格派。
身長は178センチであるが、セットポジションからグローブを左足にポンっと当ててリズムをとり、そこからスムーズな体重移動で身体を縦に回転させるオーバースロー。持ち球である縦の変化球が、この投球フォームでさらに際立つ。序盤は変化球をカウント球、そして決め球の両方として使い、木更津総合打線からアウトの山を築いていく。
木更津総合の篠木は2回に東海大相模の6番・金城飛龍と7番・茂谷光の連打、さらにダブルスチールで失点。東海大相模の遠藤は2番・小池柊稀の二塁打と4番・岩井晃介のセンター前で失点して1対1で前半を折り返す。
両投手疲れが見えだした中盤は、両投手とも配球が変わりだす。
木更津総合の篠木は時折インコースにもボールを投げるようになり、ストライクゾーンを広く使う投球。2回の失点は低めのボールを拾われており、決して痛打というわけではなかったが、これで東海大相模打線に的を絞らせずに勝ち越しを許さない。
勝利した東海大相模
東海大相模の遠藤は球威のあるストレートを主体にチェンジ。オーバースローであるために、どうしてもボールが高めに抜けやすい。ましてはスライダーやフォークなどの抜く系の変化球ならばなおさら。そこを木更津総合打線に狙われて失点を許した。
互いが持てる実力を存分に発揮し、体力を振り絞る高レベルの投手戦は8回へ。
木更津総合は二死から9番・篠木が二塁打を放ち、勝ち越しのチャンスを作ると、東海大相模ベンチが動き、遠藤に代えてエース・紫藤大輝がマウンドへ。その紫藤は代打・深野レオンをレフトへのファールフライに斬ってとりピンチを脱する。
ピンチの後にはチャンスあり。東海大相模は先頭の8番・加藤響がヒットで出塁すると、9番・萩原義輝は送りバント。得点圏にランナーを送ったところで、木更津総合はエース・根本太一を登板させる。
終盤に向かえた勝負の分かれ目。エースとしてここは絶対抑えたかった根本だが、1番・鵜沼魁斗の叩きつけた打球が前進守備のショートの頭を超えて東海大相模が勝ち越しに成功。
その後、3番・遠藤と4番・山村崇嘉にもタイムリーが生まれ、4対1と東海大相模がリードを広げた。
9回、木更津総合は4番・岩井のタイムリーと5番・下川潤の併殺打の間に2点奪うもここまで。4対3で東海大相模が木更津総合を下した。
展望の段階では木更津総合の篠木が、東海大相模の遠藤、山村そして西川をいかにして抑えるかが焦点だったが、結果として3人にヒットは1本も許さなかった。投球術の幅の広さを見せつけ、2020年の注目投手の仲間入りを果たしたといっても過言ではないだろう。
しかし不安なのはエース・根本だ。ボールの走りを見ているとまだまだ本調子ではない模様。夏までに復活した姿を見られないと、木更津総合の甲子園は遠い。打線もなかなか連打が生まれず、投手陣を援護できなかった。
夏までの残り短い時間でどこまで修正できるのか。木更津総合の逆襲に期待したい。
(文・=編集部)