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アメリカ、韓国、日本だけではない!今年のスーパーラウンドに進出した6チームはどこも優勝を狙える実力がある!

2019.09.05

スーパーラウンドは総当たりのリーグ戦 オープニングラウンドの成績も持ち越し

アメリカ、韓国、日本だけではない!今年のスーパーラウンドに進出した6チームはどこも優勝を狙える実力がある! | 高校野球ドットコム
オープニングラウンドで大活躍の・石川昂弥

 8月30日から開幕した第29回 WBSC U-18 ワールドカップは、9月5日からスーパーラウンドが始まる。スーパーラウンドは、別グループの上位3チームとの総当たりのリーグ戦だ。Bグループだった日本の場合は、Aグループの上位3チームと対戦することとなる。

 しかし、決勝進出権を獲得するためには、スーパーラウンドの勝敗だけではなく、オープニングラウンド時の同グループ上位チームとの直接対決の成績も持ち越しとなる。日本の場合、アメリカに勝利して、チャイニーズタイペイに負けたので1勝1敗の成績が残る。

 そのため、スーパーラウンドに進出する6チームは以下の成績からスタートすることとなる。

【Aグループ】
1位 韓国 1勝1敗
2位 オーストラリア 2勝0敗
3位 カナダ 0勝2敗
【Bグループ】
1位 日本 1勝1敗
2位 アメリカ 1勝1敗
3位 チャイニーズタイペイ 1勝1敗

 

 今回改めて、6チームの成績と注目選手を取り上げていきたい。

【日本】WBSCランキング1位  チーム打率.318 チーム防御率1.80

 チーム打率は6ヵ国の中で2位。さらにチーム防御率、チーム本塁打はトップの数字を誇る日本。数字上でみると十分優勝を狙える戦力だ。なんといっても素晴らしいのは、ダブルエース・奥川恭伸佐々木朗希抜きでこの数字なのだから、全選手が活躍をみせていることが分かる。

 その中でも西純矢は、9.1回を投げ、13奪三振、3失点の好投。リリーフエースの飯塚 脩人も自責点0。各投手が一定以上の成果を残しているが、世界一への条件は特定の投手に過度な負担をかけず、オープニングラウンドに続き、多くの投手起用し、それぞれが結果を残し続けることだろう。

 打線は、強打の核弾頭・森敬斗が7打点。西と石川昂弥は8打点、3番を打つ韮澤雄也も打率.375を記録。

 140キロ台の投手を捉える力は備わっており、スーパーラウンドの韓国・オーストラリア・カナダの投手陣相手にも、実力を発揮してくれそうだ。

【アメリカ】WBSCランキング2位 チーム打率.312  チーム防御率3.64

 選手の能力の高さはスーパーラウンドに進出した6チームの中でもトップクラス。ただ、潜在能力の高さの割には物足りなさを感じる試合内容、パフォーマンスが多かった。

 投手陣は、オープニングラウンドの成績は防御率3.64。140キロ後半~150キロ前半の速球を投げる投手は多いが、まだピッチング内容が荒く、エースのエイベルはオープニングラウンドでは不調だった。

 一方、打線は俊足巧打の中距離打者のハッセルは、22打数11安打1本塁打8打点と好成績を残しており、スーパーラウンド以降も活躍が期待できる。また、打率.444のアームストロング、打率.429のハンターなど、左打者が当たっている。ただ、一気に畳みかける集中打は少なく、攻撃の無駄も多い点が気になる。

 例年、アメリカ代表はスーパーラウンドから、一気に状態を仕上げてくるだけに、これからの戦い内容に注目だ。

【チャイニーズタイペイ】WBSCランキング4位  チーム打率.277 チーム防御率2.75

 得失点率でBリーグ3位となったが、実力的には日本、アメリカとは、そん色ない。

 投手陣では日本打線を5回1失点に抑えた左腕・王彦程。パナマ戦で6回1失点の好投を見せた速球派右腕・陳柏毓。左のエース候補として7.2回を投げ1失点の好投を見せている林昱岷は、トルネード気味のフォームから140キロ前半の速球、切れのあるスライダーで翻弄した。

 速球派を多く擁するチャイニーズタイペイは、成績がふるわなかった投手たちがどれだけ復調するかがポイントだ。

 打線では、日本戦で2点適時二塁打を放った羅暐捷に注目。12打数5安打6打点と勝負強さが光る左の強打者。打率.357の林政華も見逃せない。スーパーラウンドでは、打率.091に終わった4番・岳政華の復調がカギ。台湾プロ野球のドラフトで1位指名される評価を受けた打力を発揮できるか。

[page_break:韓国、オーストラリア、カナダの成績]

韓国、オーストラリア、カナダの成績

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リー・ガンジョン(韓国)

【韓国】WBSCランキング3位 チーム打率.304 防御率2.41

 地元開催で優勝を狙う韓国は投打ともに力があり、全勝してもおかしくない戦力だ。

 投手陣では、右下手投げながら130キロ後半を計測するリー・ガンジョン。140キロ後半を計測する大型右腕・チェ・ジュニョン。140キロ前後ながら回転数の高いストレートで次々と三振を奪い、6.2回を投げて10奪三振を記録するホ・ユンドン。さらに、140キロ後半を計測する右腕・イ・ジュヨプ。二刀流として注目される2年生・チャン・ジョヨンも最速148キロのストレートを武器にする本格派で、速球投手をずらりと揃える。

 ただ速いだけではなく、変化球の精度が高かったり、伸びのあるストレートを投げられたりとしっかりと特徴を持った投手を揃えており、攻略は難しい。

 打者陣は中国戦で本塁打を放ち、調子を上げているパク・チュホンは広角にも長打を打てる大型スラッガーで、韓国のドラフトでは野手唯一の一次指名を受けた選手だ。

 他にも、1番打者で、逆方向にも長打が打てて俊足でかき回す1番リー・ジュヒョンは、打率.479を記録する左の巧打者。

 2番打者ながら、打率.524としぶとい打撃が光るキム・ジチャン。韓国ナンバーワンショートとして呼び声が高いパク・ミンは、打率.304と好成績を残しており、どの打者も一定以上の長打力を持ちあわせており、勢いづいたら怖い打線だ。

【オーストラリア】WBSCランキング7位 チーム打率.276 チーム防御率2.53

 20人全員が183センチ以上の大型チーム。だが、戦い方はとても緻密だ。

 今大会、投手登録9人全員登板と投手層の厚さを誇るチーム。チーム防御率2.53と安定しており、オーストラリア・フィッシュ監督も「投手のコンディションは非常に良く、オープニングラウンドでは頑張ってくれた」と称える。

 韓国戦で、6回無失点の好投を見せた技巧派右腕・ホワイト。リリーフ3試合登板の左腕のリー。中国戦で6回2失点の力投を見せたビドイスは、チーム唯一の速球派右腕で、常時140キロ中盤~140キロ後半の速球は角度があり、打ちにくさがある。

 オランダ戦で7回3失点の力投を見せたエヴァンスは、130キロ中盤の速球、スライダーの速球を投げ込む技巧派左腕。オーストラリアは場面、打者に応じて積極的に継投策を行い、しぶとく勝ち上がってきた。

 打線もまた、しぶとい選手が揃う。20打数8安打1本塁打6打点のマグワイア。打率.529のレイはバットコントロールの高さがウリの右の巧打者。9人の投手の持ち味を引き出すリードを発揮し、さらに打率.333と打率も残せる捕手・バークなど巧打者が多い。二遊間を中心に守備は堅く、外野手も球際が強い。リーグ戦の成績は3勝2敗だが、スーパーラウンドに進出したカナダ、韓国には勝利しており、2勝0敗でスタート。強敵になるほどしぶとさを発揮する今年のオーストラリアは厄介だ。

【カナダ】WBSCランキング10位 チーム打率.320、チーム防御率3.60

 スーパーラウンドに進出した6か国では、トップのチーム打率を誇る。強力打線がウリのカナダは、本塁打でも日本に次ぐ4本塁打を記録した。
MLBのルーキーリーグでプレーするブラウン・ダッサンは8打点を記録し、打率.400をマーク。8打点を記録する3番・ショフィールドや、ゴムなど一発長打を秘めた打者を多く揃えており、打ち勝つ野球が身上だ。

 チーム防御率3.60だが、多くの投手は140キロ越えと力のあるボールを投げる。その中でも注目は、レスター・オトゥール。150キロ前後の速球で勝負する右腕で、2試合で無失点。

 また、左腕・オハロランも140キロ超えの速球を投げ込む。さらに、6.1回を投げて11奪三振を記録したシューアードも140キロ前後の速球は微妙に動き、切れのある変化球を投げ分けながら、三振も奪える技巧派だ。

 140キロ後半を投げ込むサウル・エリアスも中継ぎとしてスタンバイ。先発・中継ぎで活躍する左腕・ブラットは、140キロ前半の速球と切れのあるスライダーを投げ込む。

 0勝2敗からスタートと、厳しい成績からのスタートとなるが、実力的にはアメリカ、チャイニーズタイペイ、日本を破る潜在能力は秘めている。

 9月5日から3日間にわたり行われるスーパーラウンドで、日本は強豪・韓国、オーストラリア、カナダ相手にどんな戦いを繰り広げることができるか。

 日本戦は以下の日程で行われる。

9月5日(木)カナダ戦 18:00
9月6日(金)韓国戦 18:00
9月7日(土)オーストラリア戦 12:30

(文=河嶋 宗一

■日程詳細・応援メッセージ
第29回 WBSC U-18 ワールドカップ

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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