桜美林vs都立練馬
延長14回の死闘を制した桜美林が2回戦へ
桜美林・高橋希生
台風の影響で14日よりスタートした秋季東京都大会。15日の[stadium]多摩一本杉球場[/stadium]では桜美林と都立練馬が激突。1回戦とは思えないような白熱の試合展開となった。
試合を成立させたのは2人の投手。都立練馬の1年生右腕・林和樹と桜美林の背番号8の高橋希生の両先発投手だ。
都立練馬の林は緩いカーブと横のスライダーを駆使する技巧派投手。セットポジションから始動し、ゆっくりと少しひねりながらを足を上げる。そこからクイック気味にトップを作る。左腕を壁にしながら重心を前に運び、スリークォーターの高さから腕を振り抜く。
球速そのものは決して速いわけではないが、カーブでタイミングを外し、スライダーはフロント、バックサイドドアの両方を巧み使う。この投球を前に、桜美林打線に攻撃の隙を与えない。
一方、桜美林の高橋は力強いストレートが魅力的な投手。ワインドアップから始動して、一度右膝を折る。ここで一度タメを作り、左腕と足を三塁側に伸ばして体の開きを抑えながら重心移動して力強いストレートを投げ込む。さらに、カーブとチェンジアップと緩急を使って、ストレートをより際立たせることで、都立練馬打線に攻撃の隙を与えない。
両チームの先発の好投は5回まで続き、勝負は後半戦へ。
すると6回、8番・林が内野安打から2番・松川文大に三遊間を破り、先取点を都立練馬が奪う。追いかける桜美林は8回、代打・橋本拓磨の死球からチャンスを作り、押し出しで同点に追いつくと、二死から8番・皆川楓馬のタイムリーで逆転に成功した。
だが都立練馬が8回、6番・杉浦正馬の二塁打からチャンスを作り、途中出場の木下翔真がスクイズ。これが見事に決まり、2対2の振りだしに戻り延長へ突入する。
都立練馬・林和樹
12回で決着がつかず、タイブレークに突入して迎えた14回、桜美林が相手のバッテリーエラーで無死二、三塁とする。ここで「高橋が長いイニングを投げてくれたのでチャンスが来れば『打ってやるぞ』という気持ち」で打席に入った7番・浅野多翔がストレートを捉えてライトオーバーの二塁打。
「前の打席までは詰まった当たりが多かったので、タイミングを早くしました」という浅野は普段からライナーを打てるように、左手を立ててアッパースイングにならないように心がけているそうだ。
その浅野のタイムリーで勝ち越した桜美林は、さらに打線が繋がり一挙5得点を奪い勝負あり。桜美林が7対2で都立練馬を延長14回の末に破って2回戦進出を決めた。
辛くも勝利した桜美林。片桐監督は「夏を経験したメンバーがあまりいないので、仕方ない時期です。経験です」と今回の勝利を振り返る。
その勝利に大きく貢献したのが先発完投の高橋だ。
中学時代にピッチャーをやっていたが、旧チームでは外野手。新チームから投手に戻ってきた高橋は、「14回投げたのは初めてで、きつかったです」と試合を振り返った。
高橋の特徴は一度軸足となる右膝を折ることだが、それは監督のアドバイスだった。
「力強いストレートが持ち味ですが、そのためにも下半身を使って投げる必要があり、投手を始めてすぐアドバイスをもらいましたので、取り入れました」
その結果、指の掛かりが良くなり力があり、伸びのあるストレートが投げられるようになった。
「今日は60点です。まだボールは良い時より走っていないので、1週間で修正したいです」と意気込んだ高橋。次の投球も楽しみにしたい。
(文=田中 裕毅)