都立小山台vs世田谷学園
苦労重ねた都立小山台。森村輝の活躍で初戦突破!
森村輝
4月4日、昨秋、帝京高校にコールド勝ちを収めた都立小山台が世田谷学園との初戦を迎え、5対2で勝利した。
都立校は緊急事態宣言延長の影響で、3月20日まで活動停止。21日から再開し、準備不足は致し方ないともいえる日数だが、都立小山台の戦いぶりはそれを忘れさせるような戦いぶりだった。選手たちのスイングは鋭く、また内野手たちは送球に自信を持っているのか、やや深めに守り、次々と鋭い打球を裁きアウトを演出していた。
試合は1回表から主導権を握った。一死二、三塁のチャンスを作り、4番森村輝は前進守備の外の頭を大きく超える適時三塁打で2点を先制。さらにホームスチールを絡め、3点目を入れた。
2回裏、世田谷学園に2点を返されたが、5回表、都立小山台は5番・沢田知樹(3年)の適時二塁打で2点を追加し、5対2とした。
この2点をエース・小暮がしっかりと守り切った。サイドスローの速球派として大活躍した林 昌勇にあこがれる木暮は、立ち上がりは130キロから132キロ程度出ていたが、[stadium]駒澤球場[/stadium]とのマウンドに合わず、オーバースロー気味から投げるなど試行錯誤していた。森村は「今日は全くよくなかったです。本当はもっとストレートが来る投手なんです。それでもうまくかわしていたと思います」と、両サイドに速球、110キロ前後の小さく曲がるスライダーを交えながら、7安打を打たれながらも2失点完投勝利を収めた。
この日、特に活躍が光ったのは、5打数4安打の森村輝だろう。都立小山台の試合だけなく、ほかの東京都の試合を見れば見るほど、彼の能力の高さが突出しているのがわかる。現在、高校通算17本塁打の森村。都立小山台は福嶋監督とノートやLINEを通じて、フォーム解析を行い、日々、振り返りを行い、技術向上に努めている。森村の打撃を見ると、腰の開きが遅く、ギリギリまで我慢しながら、レベルスイングでボールをとらえる合理的なスイングができている。
本大会に入るまで苦労の連続だった。
3月20日まで当初予定されていた練習試合はすべて中止し、打席での感覚がリセットされた。20日から再開してからの練習試合ではなかなか結果が出ない。本来の感覚で打つことができない。しかし3月31日、公式戦前最後の練習試合で2本塁打を放ち、「本調子になってきたと思います」と復調の兆しを見せて臨んだ試合となった。
森村自身、手ごたえがあったのは初回の適時三塁打のみ。残りはポテンヒット、内野安打など外野を超えるあたりではなかった。
「ボールの呼び込みができていないので、もう少しうまくためていればよかったもの、またためすぎてしまってポイントが遅れてしまっているものもあり、修正点は多くあります」
4安打を記録しても、物足りない内容だと感じるほど森村のポテンシャルの高さが伝わってくる。2年ぶりのシード獲得へ向けてあと1勝。さらに内容を突き詰め、強豪・都立小山台と思わせる戦いを示していく。
敗れた世田谷学園だが、背番号10の建守伯(3年)は右スリークォーター気味から120キロ中盤の速球を丁寧に投げ分け打ち取る投球スタイルは良いものがあり、さらに内外野の守備も堅く、ノーシードに回るのは怖いチームだと実感した。
(記事:河嶋宗一)