明星vs都立成瀬
明星 ズームで素振り会の成果でコツコツ加点し、8回コールド
8回大谷の二塁打で柏木が生還してコールド成立
<春季東京都高校野球大会:明星9-2都立成瀬(8回コールド)>◇5日◇1回戦◇府中市民
この春、大半のチームがコロナにより思うような練習ができなかった。明星も練習ができない時もあり、できても1日2時間に限定された。練習ができる時は、「実戦的な練習しかしませんでした」と、石山敏之監督は語る。それを補うのは、個人の自主練習ということになるのだが、主将の長島幸生は、「ズームで素振り会をやりました」と言う。夜は全体練習ができなかった分、ズームなどで励まし合いながら、春に備えた。
都立成瀬は、選手登録は12人しかいないが、1次予選では日本学園をコールドで破り注目されていた。
1回裏、明星は1死一、二塁から4番・柏木匠翔の左前安打で1点を先制すると、5番・原嶋優斗のスクイズで1点を追加。さらに5番・大谷真之介が右前安打を放って1点を追加した。
2回表、成瀬は四球の5番・平澤彰悟、右前安打の6番・中村壮太朗が、犠打、内野ゴロ、ワイルドピッチで還り1点差に迫る。しかし、明星の先発で、この試合7イニング投げた和田昂己から、成瀬が放った安打はこの1本だけだった。
明星は走者が出れば確実に送り、適時打を打つという堅実な野球で加点していく。まさにズームの自主練習と実戦重視の全体練習がかみ合っての攻撃だ。7回裏は、1死一塁からこの試合3打数3安打と当たっている1番・長島が二塁打を放ち、8対2とする。
8回表は、ショートを守っていた4打数4安打の長島が登板する。長島は背番号1。力のある球を投げ、1安打は打たれたものの、この回奪三振2の好投。八王子シニア出身の長島はもともと内野手。ただ地肩が強いだけに、投手不足のチーム事情で投球をすると、最速135キロを投げ、エースとなっている。
8回裏明星は4番・柏木が左前安打で出塁すると、5番・原嶋はしっかり送って、6番・大谷の中越えの二塁打で柏木が生還。この試合を象徴するような点の取り方で9対2。8回コールドが成立した。
敗れた成瀬は、部員12人ながら全体的なレベルはしっかりしていた。中村和彦監督が、「ある程度、失点は覚悟していました。ただ細かいところがもう少し決まれば」と語っている。新学期、1年生を入れてメンバーを増やしたうえで、夏までにもう一段レベルアップをすることを期待したい。
勝った明星は、それほど力強さはないものの、エースで主将で1番打者の長島を中心に全体的にまとまっている。次は中1日で昭和一学園との2回戦に臨むことになる。
(取材=大島 裕史)