世田谷学園vs早稲田実業
進撃の世田谷学園!二見 被安打3の完封で関東一に続き早稲田実業も撃破
世田谷学園・二見純太
<秋季東京都高校野球大会:世田谷学園3-0早稲田実業>◇22日◇3回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
世田谷学園は2回戦で関東一を破り勢いに乗っている。ただ、その一方で、気持ちが浮かれ、スキができた選手がいて、特別に朝練をするなどして、気持ちを締めた。エース・二見 純太投手(2年)も関東一相手に完投勝利を挙げ、浮かれた気持ちを締め直してこの一戦に臨んだ。
この日の二見の投球は圧巻だった。ピンチらしいピンチと言えば、1死後、5番・石原 優成外野手(1年)に二塁打を打たれた2回表くらい。この時も後続をしっかり抑え、得点を与えなかった。3回以降は三者凡退が続き、早稲田実業打線を抑える。最速は120キロ台と言うが、左の横手投げからキレのある球を投げ、球速以上の球威を感じる。実際、早稲田実業の打者が差し込まれる場面が何度かあった。それに、世田谷学園の投手が伝統的によく投げるスライダー、カットボールが効果的であった。
二見は1次予選では状態が悪いということで、ほとんど投げなかった。「トルネード気味のフォームから普通の投げ方に戻すところでした」と二見は言う。自分のフォームを撮影した動画をチェックしながら、フォームを修正。ヒジの位置を上げるなど、工夫しながら築いたフォームが、都大会に入り威力を発揮。徐々に調子を上げていったのだった。この試合で二見は3安打、1四死球、4奪三振の完封という完璧な内容だった。
守りのヒーローがエースの二見なら、打のヒーローは2番の加川 大海外野手(2年)であった。
加川は3回裏に1死二塁から二塁打を放ち世田谷学園が先取点を挙げた。5回裏には1死一塁から三塁打を放ち1点を追加。さらに3番・井波 晃大外野手(2年)の左前安打で加川も生還している。世田谷学園の得点もこの3点だけで、加川は全得点に絡んだことになる。「あの子はすごくまじめな子です。気持ちは練習の時から入っていました」と世田谷学園の成瀬 智監督は言う。
一方、早稲田実業は、本来のエースである齋藤 士龍投手(2年)が4番・右翼手で出場していたが、故障で投げられない状態だという。「うちはピッチャーがいない。3点に抑えたのはいい方です」と早稲田実業の和泉 実監督は苦しい胸中を語った。また攻撃陣にも、二見攻略の指示は出し続けたが、この日の二見の投球は手の付けようがないほど素晴らしかった。結局3対0で世田谷学園の勝利。早稲田実業が完封で負けるのは珍しいだけに、「選手は悔しいと思います。練習をしっかりするしかありません」と和泉監督は語った。
勝利の瞬間、大きくガッツポーズをした二見は、「強い相手に完投、完封をしましたが、スキを作らず、自分のピッチングをして、ロースコアでも勝つことができればと思っています」と語り、試合後は次の試合に向けて気を引き締めた。準々決勝では、またも強豪の二松学舎大附との対戦になる。「世田学旋風」がどこまで続くか、注目の一戦になる。
(記事=大島 裕史)