試合レポート

大府vs日本福祉大付

2023.03.22

知多の雄対決は、大府が8回に打線が一気に爆発で日本福祉大附を逆転

大府vs日本福祉大付 | 高校野球ドットコム
8回に逆転打を放った大府・近藤君

<春季高校野球愛知県大会1次予選:大府8-3日本福祉大付>◇22日◇知多地区2回戦◇半田北部グラウンド

 知多地区では一番の実力校同士の対戦である。組み合わせによって、2回戦と早い段階での対戦となったが、代表1位決定戦のシード校決めとなってもいいカードでもある。対戦すれば、いつも厳しい接戦となっているのだが、それだけにどんな戦いになるのか期待も高かった。

 大府は背番号10の林投手、日本福祉大付は12を付けた左腕の澤田投手が先発。両投手ともに、ストライクを先行させていく、いいテンポの投球で、4回まで大府は1安打、日本福祉大付も2安打で無得点。日本福祉大付はここまでで7三振を喫していた。それだけ、大府の林投手のギアは立ち上がりから上がっていたということでもあろう。

 こうして、投手戦の様相で中盤に差し掛かっていった。試合が動いたのは5回、大府は失策で出た走者を一塁において、8番林が自ら左翼へ柵越えの2ランを放って先制した。2―2のカウントから、内角でストライクを取りに来たところをしっかりと捉えた打球がそのままいい角度で飛んで行った。

 しかし、これで火が付いた日本福祉大付はその裏、先頭の7番小林が内野安打で出塁すると、暴投と盗塁で三塁まで進んで1死三塁という場面で9番光本が低めの球を上手に拾ってその打球がそのまま左翼への柵越え2ランとなって同点。2ランでの先制点に対して、直後に2ランで追いつくという見ごたえのある展開で、そのまま試合は後半戦に入っていった。

 6回から大府のマウンドは2人目の左腕・長竹投手となった。中嶋 勇喜監督は、「これまでは実績があるので、今のところは1番をつけさせている」ということで、送り出していった。しかし、その代わり端を捉えた日本福祉大付は、先頭の2番友利が左前打すると四球とバント失策もあり無死満塁とする。ここで代打馬島が初球を捉えて左犠飛を放って1点リードする。それでも、大府もその後はしっかりと抑えて1点差のまま、試合は終盤に差し掛かっていった。

 日本福祉大付の澤田投手は、7回には2四球と疲れもあってか、やや制球に乱れも生じてきていたが、よく凌いでいた。そして、1点差のまま終盤の攻防を迎えることになったが、日本福祉大付の山本 常夫監督は、8回からは同じ左腕の増田投手をリリーフとして送り込んだ。大府打線は、そこを捉えた。

 先頭の2番道家が左前打で出ると、中嶋監督はここで代走として早田を送り出す。バントと四死球で1死満塁となったところで、6番近藤が左前打で二者をかえした。さらに大脇と7回から3人目としてリリーフして8番に入っている長野と連打が出て、さらに3点を追加。2死一、二塁となってから1番椙村が中前打してこの回6点目。大府は打線が一気に爆発した形となってビッグイニングを作って逆転して突き放した。

 そして、8回、9回を3人目の長野投手が何とか無失点に抑えて逃げ切った。

 大府の中嶋監督は、「2点をリードして、少し硬くなってしまったのかなとも思います。1球でリードして1球で追いつかれてしまったというところでしょうか(苦笑い)。だけど、こうした経験をしていきながら、チームとしても強くなっていくのだと思いますから、いい経験です。やはり、1位で(知多予選を通過して)県大会に進出したいですから、負けられない相手でした」と、知多の強豪同士の対決を意識していたようだ。それを勝ち上がっていったことで、大府もチームとしてさらに成長していきそうである。「いい緊張感を持って戦えたこともよかった。チームとしても、少しずつ自分のカラーを出せるようになってきたような気がする」と、東浦から異動して就任2年目の中嶋監督は、今季のチームに対しての手ごたえを感じてきている。

 中盤までは競り合いも一旦は逆転した日本福祉大付だったが、山本監督は、「今日は新2年生の澤田と増田の2人の左腕が大府高校さん相手に、どこまで投げられるのかなというところに期待して賭けたんやけども、増田に『よし、俺も…』というところがもう1つ出ないでつかまってしまいました。もう1人エース(間瀬 貴聖)がおるんやけど、今日は2人に任せるつもりでした」という投手起用だったが、課題を残しつつも、前半の緊迫感など収穫も多かったようだ。

 日本福祉大付は今季、5月の連休の後半には鹿児島遠征も予定していて鹿児島実や鹿児島商などの甲子園でも実績のある鹿児島県の強豪とも試合を組んでいるという。「親御さんには、少し負担をかけてしまうことになるんですけれども、いい刺激を得られると思いますし、思い出にもなると思います」と、船中2泊というスケジュールで動くということだが、その中でまた新たに得るものを見つけていこうという姿勢も示している。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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