4回戦 都立城東 vs 都立武蔵丘
<第105回全国高校野球選手権東東京大会:都立城東4ー0都立武蔵丘>◇20日◇4回戦◇江戸川区
都立校同士の対戦。ただ2度の甲子園出場経験があり、昨夏も4強である都立城東が格上であることは否めない。しかし都立武蔵丘は、そんな実績の差はものともせず、互角の試合を繰り広げた。
試合は1回、都立城東が、2番・高橋 康輔外野手(3年)の内野安打、3番・北見 航太朗内野手(2年)の右前安打に盗塁などを絡めて1死二、三塁とし、4番で先発投手の藤森 晴久投手(3年)の一ゴロで高橋が生還した。
まだ1回、内野ゴロで入った得点が重い1点になるとは、予想できなかった。都立城東の先発・藤森は1年生の秋から登板しており、経験が豊富なだけに落ち着いた投球をする。
都立武蔵丘は2回に四球と失策で2死二、三塁のチャンスを作ったが得点できず、3回には2死後2番・矢島 慶内野手がチーム初安打を放ち、二盗もしたが、次の1本が出ない。
その一方で都立武蔵丘は、投手陣の柱の1人、小川 瑠悟投手が1回に1点は失ったものの、追加点は与えない。4回からはエースの奥山 柚希投手(3年)が登板。いきなり都立城東の5番・柳瀬 陽外野手(2年)に二塁打を許したものの、その後をしっかり抑える。
都立城東としては焦りを呼ぶ展開ではあるが、藤森の投球が安定しているため、危ない感じはない。藤森は6回を投げて被安打はわずか1の失点0。7回からは投手陣のもう1人の柱である篠原 康紀投手(2年)が登板。8回に安打を2本打たれたが、2死からで、失点にはつながらない。
一方、好投していた都立武蔵丘の奥山は9回に失点する。この回先頭の都立城東の5番・柳瀬が右前安打で出塁。ここで都立城東は代走に西岡 拓朗内野手(3年)を送り、6番・松山 虎史朗内野手(3年)の犠打が内野安打になり、途中出場の7番・佐瀬 大河外野手(3年)の遊ゴロの間に西岡が生還し待望の追加点を挙げる。さらに内野安打や失策が重なり、都立城東はこの回3点を入れて試合を決めた。
都立武蔵丘の奥山は、「最後崩れたのは悔しいです」と語る。それでも春は1次予選で都立日野台に0-7でコールド負けしたチームとはこの夏は別のチームであるかのような、堂々とした戦いぶりであった。春から最も成長した部分を奥山に聞くと、「心の強さです」と答えた。ピンチでも動じないメンタルが、都立城東との接戦をもたらした。逆に都立城東はもう少し追加点を奪えなかったのかという思いもあるが、都立城東の内田稔監督は、「向こうがあっぱれでした」という。
都立武蔵丘はよくやったということになるが、都立武蔵丘の鈴木秀志監督は、「この敗戦をどう思い、強くなっていくか。これからです」と言った後、「もっと野球を楽しんでほしい」と語った。
昨夏は都立勢では、都立城東、都立文京、都立小山台の3校が8強に残った。今年は、都立小山台は敗れたものの、都立城東も都立文京も残っている。今回は都立校でシード校になったチームはない。それだけに都立の強豪・都立城東の戦いが注目される。