試合レポート

【甲子園】2回戦 鳥栖工 vs 日大三

2023.08.14


緩急の投球のお手本、日大三・安田が16.1回連続無失点で逆転勝ち呼ぶ

<第105回全国高校野球選手権記念大会:日大三3-1鳥栖工>◇14日◇2回戦◇甲子園

切れのある低めの直球に、球速差があるチェンジアップとカーブ。日大三(西東京)のエース安田 虎汰郎投手(3年)は、その「緩急」をつけた投球で、またもチームに勝利をもたらした。

先発は谷亀 和希投手(2年)だった。初回に1点を奪われ、2回も2死一、二塁のピンチを迎えたところで、背番号1の安田がマウンドへ。初戦の(兵庫)戦で2安打完封を成し遂げた右腕は、それ以後、鳥栖工(佐賀)に打撃をさせなかった。

直球は130キロ中盤から140キロ前半。チェンジアップが110キロ前後。同じ球速帯で大きな縦のカーブがある。20~30キロ前後の緩急を使った巧みな配球で、次々と凡打を生んだ。2回途中から最後まで投げ切り101球でわずか3安打無失点。内野ゴロは10を数えた。

圧巻は5回だった。先頭打者は直球、カーブのあと、30キロ以上の球速差のある137キロの直球で見逃し三振。2人目は4球直球を続けた後に、大きな緩いカーブで空振り三振。3人目は、チェンジアップから入り、140キロ台の直球を2球続け、チェンジアップでファウルさせた後に、内角へズバッと直球を投げ込み見逃し三振を奪った。鳥栖工の2番から始まる中軸相手に、三振も奪える力強いピッチングも披露した。

試合の流れも読んでいた。4回、味方打線が1死満塁のチャンスをものにできず、やや嫌なムードが漂った。その直後の5回に、圧巻の三者連続三振を奪って流れを断ち切った。さらに2対1と1点を勝ち越した直後の7回も、3人を内野ゴロで仕留めて反撃ムードを作らせなかった。勝負どころをしっかりと心得ている。

甲子園で2試合16.1回を無失点。この安定感はベンチにもナインにも勇気を与える。次戦の相手は、おかやま山陽(岡山)。劇的勝利で勢いに乗るチーム相手にも冷静な投球を続けるのだろう。

敗れた鳥栖工は堂々と戦った。先発の古澤 蓮投手(3年)はコーナーを丁寧について、強打の日大三打線のバットの芯を外すような絶妙なピッチングを披露した。負け投手にはなったが、6回2失点は立派だ。リリーフした松延 響投手はまだ1年生ながら、140キロを超える速球で打者に立ち向かっていった。糸を引くような低めへ伸びる速球と針の穴を通すような外角低めへのスライダーは1年生とは思えない完成度だった。新チームからの成長に期待したい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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1 Comment

  1. たぬき

    2023-08-15 at 3:41 AM

    谷亀は、27分の5をとったことが大きい。
    安田は2試合で206球。上出来。
    二桁安打を二試合。で、6点。ここだなあ。
    合計10点の内容だけどなあ。
    まあ、感触はいい。

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