試合レポート

【和歌山】田辺 vs 智辯和歌山

2023.10.08


公立校の田辺が智辯和歌山を撃破!52年ぶりの近畿大会切符をつかむ

<秋季近畿地区高校野球大会和歌山県2次予選:田辺5-2智辯和歌山>◇7日◇準決勝◇紀三井寺運動公園

公立校の田辺智辯和歌山を下して、52年ぶりの近畿大会出場を決めた。

流れを作ったのは最速139キロ右腕のエース・寺西 邦右投手(2年)。「変化球でストライクが入り、真っすぐで押す場面もあって、良い投球ができたと思います」と130キロ台中盤から後半の直球とスライダーのコンビネーションで強打の智辯和歌山相手に果敢に挑んでいく。対する智辯和歌山先発の長身右腕・中西 琉輝矢投手(2年)も角度のある球を投げ込み、田辺に得点を与えなかった。

試合が動いたのは5回、智辯和歌山は2死二塁のチャンスを作ると、9番・井口 恒星内野手(2年)の右前適時打で先制点を挙げる。さらに井口は送球間で二塁に進むと、続く1番・藤田 一波外野手(1年)が左翼線にポトリと落ちる適時打を放ち、リードを2点に広げた。

リードを貰った中西は6回に四死球などで2死満塁のピンチを招いたが、二飛に打ち取りピンチを脱する。制球に乱れが見え始めた中西はこの回限りでマウンドを降り、7回からは右腕の宮口 龍斗投手(1年)に継投した。

宮口は球場のスピードガンで141キロを計測するなど、力のある球を投げるが、四球や失策が絡んで、田辺は1死満塁のチャンスを作る。ここで主将の3番・山本 結翔(2年)が押し出しの四球を選んで1点を返すと、「野球センスが抜群」と田中格監督が評する4番の山本 陣世内野手(2年)に打順が回った。

山本陣は2ボール2ストライクからの変化球を「少し泳がされた」と言いながらも、打球はどんどん伸びていき左翼席へ。逆転の満塁本塁打となり、田辺が一振りで3点リードを奪う展開となった。

リードを貰った寺西は最後まで力強い投球を披露。「得点圏にランナーが出たら、ギアを上げてしっかり投げられたと思います。ゲッツーもたくさん取ってくれたので、楽に投げることができました」と味方の好守にも助けられ、4併殺と要所を締めた。

寺西は10安打を浴びながらも無四球で2失点完投。最大のライバルを倒して近畿大会の切符をつかみ取った。

強豪校を下しての近畿大会出場に「言葉が出ないです」と田中監督は感無量の様子。1次戦で今夏に智辯和歌山を下した高野山や、準々決勝で今夏の甲子園に出場した市立和歌山を破ったことでチーム内に自信が生まれ、大一番でも堂々としたプレーにつながった。

田中監督、選手ともに近畿大会は初めての大舞台。「そういう世界(近畿大会)を子どもたちも僕も見ていない。ただ、市立和歌山さん、智辯和歌山さんに勝たせてもらったので、臆することなく行きたいと思います」と田中監督は言葉に力を込めた。

一方、敗れた智辯和歌山は初戦敗退した今夏に続き、2季連続で甲子園出場を逃すことがほぼ確実になった。

「寺西君にしっかり抑えられてしまいました。しっかり対策をした上で調整してきましたが、それを上回る良いピッチングをされました。もう1度、しっかり作り直して夏は頑張りたいと思います」と語った中谷仁監督。個々の能力が県内トップクラスなのは間違いない。来年こそは強い智辯和歌山を見せられるか。

(取材=馬場 遼)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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