試合レポート

【近畿】近江のエース・西山が76球で完封!高橋の好リードも光る〈秋季近畿大会〉

2023.10.22


<秋季近畿地区高校野球大会:近江2ー0興国>◇21日◇1回戦◇大阪シティ信用金庫スタジアム
滋賀1位の近江が大阪3位の興國を下した。近江のエース・西山 恒誠投手(2年)が3安打、1死球、5奪三振で完封。球数は76球と驚異の少なさだった。

「完封したのは初めて。初球の変化球を打たせられたというのが良かったです」と自身の投球を振り返る西山。多賀章仁監督は「高橋のリードも非常に良かったと思います。淡々と投げさせたのはやっぱりキャッチャーだと思いますね」と高橋 直希捕手(2年)を高く評価していた。

その高橋は興國打線の印象について次のように語っている。
「『初球から振ってくる』ということをコーチから言われたり、YouTubeで見た印象があって、それを上手く利用して初球から打たせることができれば、リズムが良くなると思いました。今日は思惑通りに試合展開が進んで良かったと思います」

相手打線の特徴を研究した上で、それを利用した配球を行った高橋。また、使う変化球にも工夫があった。
西山は最速143キロの直球と縦に大きく曲がるスライダーを武器とする。しかし、2回にそのスライダーが抜けて死球を与えてしまった。
「今日は縦のスライダーが抜けてしまったり、あまりかからない」と西山から報告を受けると、「真っすぐとカットボールを軸に配球するように変えました」と高橋は臨機応変に配球を変更。浅いカウントからカットボールで芯を外すことによって、打たせて取る投球を実行することができた。

近江は12安打を放ちながらも、11残塁で2得点と嫌な流れになってもおかしくない試合展開だったが、「全球種が一級品で、抑えられる気しかなかった」(高橋)とこの日の西山は最後まで危なげない投球を見せた。
クリーンアップに回った9回も難なく3者凡退に抑えて試合終了。1時間46分と短時間で試合を終わらせた。

6年前に4強入りして翌春の甲子園を決めた時の近江には今年のドラフト候補に挙げられている有馬 諒捕手(現・関西大4年)がいた。近江が強い時には必ず良い捕手がいる。県大会の頃から多賀監督は「高橋の成長が大きい」と話しており、その存在感は日に日に増している。

「一番大切だと思ったのはピッチャーを信じること。自分の意見を押し付けてしまうと、ピッチャーが投げづらい部分があるので、僕はピッチャーを信じてやることを目標にした結果が良い結果になっています」とリードの信条を語る高橋。エースの好投の裏には女房役の好サポートがあった。
取材・文=馬場遼

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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