試合レポート

【愛知】豊橋商 vs 岡崎工科

2023.10.29


攻守に充実ぶりを示した豊橋商が、岡崎工科を下して決勝進出

<第149回中日旗争奪全三河高校野球大会:豊橋商4-2岡崎工科>◇28日◇準決勝◇豊橋市民
愛知県では、春季と秋季の県大会後に開催される、全三河大会。西三河地区と東三河地区の県大会2次予選で勝ち上がった上位8校ずつの計16校が出場して戦う恒例の大会でもある。ただ、この秋は、東三河地区の豊川豊橋中央が県大会で準優勝と、3位校ということになり、並行して開催されている来春のセンバツ大会への重要資料となる東海大会に進出を果たした。ということで、この両校は名誉の出場辞退ということになった。
そうした中での全三河大会だが、準決勝では東三河と西三河の対決という形になった。この秋の新チームでは、戦力的にもかなり充実しているという評価の豊橋商。しかし、期待された県大会では西尾東に屈した。その後の、この大会でも初戦で西尾東と当たり、県大会のリベンジを果たしてここまで進出してきた。

これに対して西三河地区では苦しみながらも何とか勝ち上がってきた岡崎工科。県大会でも2回戦ではに敗れはしたものの、1回戦で東海南を下した。実はこの時期は、学校祭の最中ということでもあるのだけれども、チーム内にインフルエンザが流行してしまったということである。その結果、チームとしては万全ではない状態で戦わざるを得なくなってしまった。この日は、何人かの欠場者も出て、14人で戦うということになってしまった。平松忠親監督は、「何とかロースコアで競っていって、タイブレークに持ち込んでいくような戦いができれば、望みはあるかもしれない」と見ていた。

先制したのは岡崎工科で、2回に四球の走者をバントと内野ゴロで三塁まで進めると、7番・鈴木 裕也内野手(2年)が中前打を放ってかえした。しかし豊橋商も、すぐに3回、内野安打の澤口 拓真内野手(2年)君がすかさず二塁盗塁すると、1番・中西 柊満内野手(2年)のバントが悪送球を誘い、労せずして同点となった。

しかし、ここから岡崎工科の先発左腕の峰村 崇杜投手(2年)は踏ん張った。
1対1のまま、5回に入った。ここで、岡崎工科ベンチは、峰村を下げて右翼を守っていた原田 颯太投手(2年)をマウンドに上げた。その代り端、失策と安打などで2死一、三塁。ここで守りやすくしたいということもあって、5番・佐々木 将大捕手(2年)を申告敬遠で満塁とする。7番・北野 栖嵐外野手(2年)との勝負となったがカウント1-1から、巧みに右へおっつける打撃で2人を返した豊橋商がリードを奪った。

岡崎工科も、7回に溝﨑 要仁内野手(2年)の二塁打などで2死一、三塁として、7番・鈴木がこの日2本目の適時打を放って1点差とした。二塁打した溝﨑は、前日までインフルエンザで練習を欠場していたが、この日は4番に抜擢されて、きちんとその責任を果たしたのは立派だった。また、鈴木も2打点と、勝負強いところを示していた。こうして1点差で食い下がっていく形は、平松監督としても、「力としては現状では、相手の方が上なので、勝つとしたらこういう形しかない」というイメージに近いものにはなった戦い方ではあった。

岡崎工科としては1点差であと2イニング、何とか守って追いつきたいというところだった。ところが9回、豊橋商の3番・伊東 徹之芯外野手(2年)に左翼へのソロホーマーが飛び出して2点差となった。試合の流れからしても、貴重な本塁打だった。
岡崎工科は、その裏先頭の溝﨑が左前打で反撃しかかったが、最後まで自分の投球を崩さなかった豊橋商の北添 兼矢投手(2年)が、後続をしっかりと抑えていった。こうして、豊橋商が決勝進出を果たした。豊橋商としては、第27回大会以来の優勝を目指す戦いとなる。

豊橋商の田村知憲監督は、「県大会では、ちょっとしくじりましたから(苦笑)、ここへきてチームとしての感触はいいと思います。今年のチームは北添、伊東と打撃でも中軸を打つ2人が、投打の軸となって引っ張っていってくれています。チームとしての柱がしっかりとしているので、手ごたえもあると思っています」と、チーム状況の良さを強調していた。

商業校が、野球部活動としては厳しい環境の学校が多い愛知県にあって、健闘している公立商業校といってもいい豊橋商。左胸にワンポイントの桐の花の校章のユニホームも、より輝いてインパクトを醸し出して感じられた。来春以降も含めて「豊橋商旋風」が期待できそうな雰囲気でもある。
取材・文=手束 仁

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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