動的ストレッチの基礎知識【セルフコンディションニングお役立ち情報】
ストレッチは皆さんも普段からよく行っているセルフコンディショニングの一つではないでしょうか。ストレッチは息を吐きながら筋肉を伸ばすイメージがあると思いますが、ストレッチにはいくつか種類があり、特にウォームアップによく用いられるのが動的(ダイナミック)ストレッチと呼ばれるものです。今回は動的ストレッチについてまとめておきたいと思います。
静的ストレッチと動的ストレッチの違い
主に運動後のクールダウンに用いられるストレッチが静的(スタティック)ストレッチと呼ばれるものです。これは時間をかけながらゆっくりと筋肉を伸ばし、関節可動域(関節の動く範囲)を拡げる方法です。筋肉は急激に伸ばしたり、限界を超えて伸ばしたりすると、筋線維が切れてしまわないように反射的に収縮して筋線維を守る自己防衛的なセンサーを持っています。このセンサーを刺激しないように、息を吐きながらゆっくりと筋肉を伸ばし、そこから時間をかけてその状態を維持する方法が静的ストレッチです。
一方、体を動かしながら目的とする筋肉を伸ばし、関節可動域を拡げる方法を動的(ダイナミック)ストレッチと呼びます。ラジオ体操なども動きの中で筋肉の柔軟性を高めたり、関節の動きをスムーズにしたりする動的ストレッチの一つです。動的ストレッチの中には反動や弾みを利用した反動(バリスティック)ストレッチという方法もありますが、自分でコントロールできる範囲を超えて大きな反動をつけてしまうと、筋肉や関節を傷めることがあるため、基本的には自分でコントロールできる動きの中で行いましょう。
動的ストレッチの特徴
動的ストレッチの特徴として、伸ばしたい筋肉と反対側にある筋肉(拮抗筋:きっこうきん)を収縮させることで目的とする筋肉を伸ばすことができます。たとえば大腿部の裏側にあるハムストリングスを伸ばしたい時は、大腿部の前側にある大腿四頭筋などを収縮させる(股関節を屈曲させる)ことで伸ばすことができます。このように動きの中で目的とする筋肉や関節にアプローチするため、続けて行うことで代謝が高まり、体温が上昇します。この他にも動きの中で関節可動域を無理なく段階的に拡げることができるほか、筋力やパワー発揮についても一時的に向上することが指摘されています。動的ストレッチの特徴を理解して、ケガの予防やパフォーマンスアップに役立てましょう。
文:西村 典子
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