新入生を迎える環境づくり【セルフコンディションニングお役立ち情報】
新入生は体力レベルに合わせて段階的に運動負荷を上げるようにしよう
4月に入ると多くのチームでは新入生を迎えているのではないでしょうか。高校野球という新たなステージで野球に取り組む新入生にとっては、全てのものが新しく、それゆえに環境や練習内容の変化に伴って心身の緊張も高まりがちです。さらに体力的な問題などによってもケガをしやすい時期ともいえるので、まずはケガ予防のために体力レベルを向上させることを優先していきましょう。
メディカルチェックや体力測定を実施する
練習に参加するにあたって、新入生のメディカルチェックや基本的な体力測定などはぜひ実施しておきましょう。トレーナーなどの専門家がいない場合でも、中学時代までのケガの既往歴や注意したい医学的な情報、アレルギーの有無などについては、個人情報の取扱には十分注意した上で、指導者の方が把握しておくことが望ましいと考えます。体力測定についてはメジャーを使っての周径囲の測定や、握力、背筋力、柔軟性といった中学時代にも実施したことのある項目にしぼって行うようにしましょう。ベンチプレスやスクワットなどに代表される筋力測定は、トレーニング経験の有無によって大きく変わるため、未経験者にこれらの項目を測定することは適切ではありません。
運動負荷は段階的に上げる
基礎体力づくりとしてグランドでランニングや自重トレーニングなどを行うことがあると思いますが、このような体力面での強化を目的としたフィジカルトレーニングは運動負荷(運動量や運動時間、運動強度など)を段階的に上げていくことが大切です。急激に運動負荷をあげてしまうと、体力を強化するつもりがその前に故障してしまう可能性が高く、これでは本末転倒です。また新しい環境で練習を行うため、今までとは違ったサーフェス(地面)や買い換えた新しいシューズなど、ケガのリスクが高まりやすい要因もあります。この他にも中学校での部活動を引退してから、高校野球部に入部するまでの過ごし方も個人差が大きいため、体力レベルについても大きな幅があると考えておきましょう。体力強化とケガをしない運動負荷というのは「さじ加減」が難しいところですが、段階的に運動負荷を上げること、そして疲労回復のためのコンディショニングにかける時間を十分に取ることが大切です。
違和感や痛みを申告しやすい環境を整えよう
練習後に各自でストレッチを行ったり、食事や睡眠に気を使ったりしても、日を追うごとに疲労による痛みや違和感はどうしても現れやすくなります。痛みがあるときにはムリをさせないような環境づくりもチームとして率先して行ってほしいことの一つです。痛みの対応として氷などを使って患部を冷却するアイシングを行うことを推奨したり、その環境を整えたりすることや、練習前や練習後にコンディションの申告を行ってもらったりすることも良いでしょう。これから約2年半の高校野球生活を充実したものにするためにも、ケガや違和感への対応をなるべく早めに行うことをチーム全体で実践していきましょう。
文:西村 典子
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