Interview

チーム再建の匠・中村良二前天理監督が新天地で語る「理想はラグビーのような野球を」 11季連続Bクラスの大阪学院大を復活させる

2024.04.09


大阪学院大・中村良二監督

新監督の下で今春の開幕を迎えた大学がある。それが関西六大学野球連盟に所属する大阪学院大だ。

今年2月からチームを率いているのは中村良二監督。高校時代は天理の主将として1986年夏の甲子園で優勝を経験した。

その年のドラフト2位で近鉄に入団。プロでは近鉄、阪神で計11年のキャリアを送った。

現役引退後は藤井寺リトルシニア、天理大、天理高で監督を歴任。天理高では2度の甲子園4強に導いたが、昨年限りで退任となっていた。

大阪学院大は11季連続Bクラスと苦しい戦いが続いており、昨秋は2勝10敗、勝ち点0の最下位に沈んだ。

チームの再建が求められる中での就任となったが、「そういうところでチームを作るのが僕の野球人生なのかなと思います」と中村監督は言う。

指導者人生をスタートさせた藤井寺リトルシニアでは選手0人の休部状態から立て直して、最終的には60人以上の選手を抱えるチームにまで成長させ、天理大では2部落ちしていた状態から5年で全国大会に導いた。

天理高でも3季連続で甲子園を逃したタイミングでコーチに就任しており、苦しい状態のチームを次々と復活させてきた指導者人生だった。その意味でも中村監督にかかる期待は大きい。

選手の自主性を重んじてきた天理高時代の指導方針は大阪学院大でも継続している。「ラグビーのような野球をしたいです」と監督が何も言わなくても選手たちで考えてプレーできるチームになることが中村監督の理想だ。

大学生は高校生よりも自主性がより浸透しやすい。「一言、二言言ったら、自分たちで考えて野球をしてくれる」と10年ぶりの大学野球での指導にやりがいを感じているようだ。

実績のある中村監督が就任したことで選手たちの意識も高まっている。開幕戦の日には選手が望んで朝4時から打撃練習を始めたが、こうしたことは過去の大阪学院大にはなかったという。

「彼らは勝ちたいし、変わろうとしている。僕らが全力でそこをサポートしながらやっていけたらと思いますよね」と中村監督は目を細める。

開幕節の相手はリーグ4連覇中の大阪商業大。天理高時代には選手を送っていた大学であり、相手ベンチには教え子の長野 陽人(3年)と赤埴 克樹(1年)がいた。

絶対的王者に果敢に挑むも2試合連続で完封負け。連敗で勝ち点を落とす結果となった。

大学野球はリーグ戦であり、ここから勝ち続ければ、優勝のチャンスはまだ残されている。しかし、勝ち点を落として悔し涙を流す選手も数人見受けられ、今節に懸ける想いの強さが見て取れた。

「泣いているやつほど練習しているんですよ。泣ける学生を増やせば、チームは自ずと強くなるんです」と話す中村監督。名将のチーム改革はまだはじまったばかり。大阪学院大を2010年春以来の全国の舞台に導くことはできるだろうか。

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この記事の執筆者: 馬場 遼

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