試合レポート

春まで部員不足でギリギリ単独チームでの出場だった刈谷北、県準優勝経験校・桜丘との大熱戦で得た自信【24夏・愛知大会】

2024.06.30


桜丘・五十棲桧斗

<第106回全国高校野球選手権愛知大会:桜丘6-5刈谷北>◇29日◇1回戦◇豊橋市民球場

【トーナメント表】愛知大会 29日までの結果一覧

5年前の夏の愛知大会では決勝進出を果たして、甲子園出場に手の届きかかった桜丘。しかし、今年の春季大会では、東三河の順位決定二次トーナメントで敗れて県大会進出を逃すなど、もう一つ実績が残せていない。そんな中で迎えることになった最後の夏である。期するところはあるはずだ。

刈谷北は、昨秋の新チーム以来、単独チームとして戦えるのが精いっぱいの部員数だった。それでも校内から助っ人を借り出して、合同チームでの参加や大会辞退を選ぶことなく、昨秋、今春と何とか単独チームで戦ってきた。
そしてこの春、藤井 将太監督と日比 悠介部長らの熱心な勧誘により、新入部員が13人も加わった。

こうして出場した夏。刈谷北は、思いの丈をぶつけるかのように伸び伸びと戦い、強豪桜丘を追い詰める大健闘だった。
二点をリードされた刈谷北は4回、1番からの好打順だったがあっさり二死。しかしここから、平岡 和真内野手(2年)の二塁打と4番、ただ一人の3年生の間瀬 倖来選手のタイムリーで1点を返し、なおも内野安打で繋ぐと、相手失策もあってさらに2点を追加して逆転。
このリードを1年生・出雲 暖人投手が何とかキープしていく。しかし6回、7回に1点ずつ返されて逆転されて、さすがにここまでかと思われた。
ところが、8回に先頭の2番狩野 悠義選手が安打で出ると、再び平岡選手が二塁打して二三塁とする。そして、4番、5番の連続犠飛で再逆転。刈谷北は驚異の粘りを見せる。

しかしその裏、桜丘は相手の2つの失策でチャンスを貰うと、2番・河合 智哉選手(1年)の二塁打で同点とし、さらに刈谷北に失策も出て桜丘が再々逆転。この1点リードを7回途中からリリーフしていた居谷 聡一郎投手(3年)が、何とか守り抜いて辛くも逃げ切った。

桜丘の杉澤 哲監督は、「初戦なので固くなるのはしょうがないですけれども、とにかく、次があることが何よりです。相手がどうのこうのよりも、ウチも下級生の多い若いチームですから、自分たちがやれることをきちんとやっていく。そういう姿勢を持てるかどうかということです。勝ててよかった」と、安堵していた。

刈谷北の藤井監督は、接戦で9回まで戦えたことには満足していたが、「最後に、チームとしての経験のなさが出てしまいました」と悔やんでいた。ただ一人残った3年生の間瀬選手が反撃の適時打と同点の犠飛を放ったことに関しては、「仲間の同級生が次々と抜けていく中で、自分は高校野球がやりたいと残ってくれた間瀬が、3回のタイムリーと8回に同点の犠飛を打ってくれた時には、ベンチで涙が出そうでした」と思いを吐露してくれた。

厳しい中で、何とか夏の大会を迎えられた刈谷北。秋の新チームは17人で挑むことになる。選手たちにとっては、この日の善戦は間違いなく自信になってたことであろう。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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