試合レポート

「セルフジャッジベースボール」を貫く江戸川、決勝点は選手同士のアイコンタクトでもぎ取る!【24年夏・東東京大会】

2024.07.11


江戸川・三林快

<東東京大会:都立江戸川 7-6 都立大森>◇9日◇2回戦◇JPアセットスタジアム江戸川球場

【トーナメント表】夏の東東京大会 ここまでの結果

江戸川区にある都立江戸川にとっては、この日の球場は、練習試合などでも何度か使用している、いわばホームともいえる場所だ。精神的にもプラスの初戦となった。
今春は都大会初戦で聖パウロ学園に5対9というスコアで敗れた。ただ、チームとしての仕上がりは悪くないという感触のようである。

都立大森は、今春のブロック予選で国分寺に1対9で敗れて、本大会進出を逃している。試合は都立大森都立江戸川にチャレンジしていくという構図だった。

都立江戸川は、今春、都立篠崎へ異動となった前任の園山 蔵人監督が推奨してきたノーサインの‟セルフジャッジベースボール”を、この4月から就任した関 優音監督となっても継承している。
それが、6対6の同点で迎えた9回、試合展開からすればタイブレークも意識していかなくてはならないという場面で発揮された。

この回、先頭の4番・三林 快内野手(3年)が中前打で出ると、ベンチはすかさず代走に中山 昂選手(2年)を送る。内野ゴロと、暴投に四球で一死一三塁となる。
この段階で、ベンチ内では、誰が言うということでもなく「スクイズで1点を取りに行く」という空気になっていたという。そして、7番・伊澤 健太内野手(3年)が、ノーサインで走者とのアイコンタクト。迷うことなくしっかりとスクイズを決めたのだ。これが決勝点となった。

この虎の子の1点リードを9回、先頭の中村 優希外野手に二塁打されて、またも同点かという場面になったのだが、一死を取ってからは「投球術では一番まとまっているので、安心していられる」という伊草 風輝投手(3年)が相手の中軸を飛球と凡打に打ち取って逃げ切った。
都立江戸川としては、苦しい展開になったものの、最後は自分たちのやってきた野球が間違いではなかったということは、確証を得たと言ってもいいのではないだろうか。

大森の先発・中田 大空投手(3年)は、最後まで、気持ちを切らすことなく、思いを込めて投げ切った。最後は、都立江戸川の‟セルフジャッジベースボール”にしてやられたという形にはなったものの、5回と7回に見せた2度の同点劇は、大森ナインが「諦めない気持ちが、どれだけ大事か」を学び、大きな自信になったはずだ。

2時間26分、普通の公立校の生徒同士の戦いは、観る者の心を打つ好ゲームだった。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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