松山聖陵vs宇和島東
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松山聖陵先発・嘉陽宗一郎(2年)
松山聖陵「助け合い」野球で済美との決着戦へ!
『助け合い』は常にみんなで言っているんですが、あれはランナーのファインプレーですね」。
1999年の第71回センバツでは沖縄尚学の1番・三塁手として左腕エース・比嘉公也(現:沖縄尚学高監督)、主砲・比嘉寿光(早稲田大→広島東洋カープ、現同広報)らと共に沖縄勢初の全国制覇を経験した松山聖陵・荷川取秀明監督が褒め称えたのは、試合を決めた9回表一死満塁における、二塁走者・山城健人(2年)に代表される「助け合い」である。
6番・中野準也が仕掛けたスクイズ。打球は投手正面に転がりスタートの遅れた三塁ランナーは本塁封殺。ただ、中野は気持ちを落とすことなく全力疾走に入っていた。これに慌てたのか、捕手からの一塁送球は二塁方向に逸れ併殺は阻止。さらにその時、172センチ67キロの体は既に三塁を回っていた。
「満塁だったし、宇和島東のプレーを見ていると随所に油断が見えていたのでホーム突入は狙っていた」50メートル走6秒台前半の山城が全身から発する気迫に押され、再度のホーム送球は届かず。自己最速タイの139キロをマークし、変化球も「力みもなく投げていた」と指揮官も評価するエース右腕・嘉陽宗一郎(2年)にとって十分過ぎる6点目によって、試合は完全に決したのであった。
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荷川取秀明監督の指示を聴く松山聖陵の選手たち
かくして昨年秋季四国大会出場の宇和島東を破り、8年ぶり6度目の秋季愛媛大会ベスト4進出を決めた松山聖陵。そして19年ぶり2度目の秋季四国大会出場をかけた準決勝では公式戦3大会続けて済美と対戦することになった。
振り返れば夏の愛媛大会3回戦では終盤、カーブ以外の変化球を封印した公式戦初先発・安樂智大(1年)から7回に3点を先制。4対9と5点ビハインドで迎えた9回表には2番手以降を打ち込み、一度は同点に追い付きながらも9回逆転サヨナラ負け。続く中予地区新人戦2回戦でもエース・嘉陽がケガのため登板できず。終盤登板した安樂に封じられ8対15。旧チームから主力5人が残る松山聖陵にとっては、いわば「決着戦」ともいえる試合である。
そんな一戦へ向けて主将の中野はこう意気込みを述べる。
「このチームは仲もいいし、いい意味で物を言い合える。いつも嘉陽には迷惑をかけているので助けてあげたいし、3回も負けられないです」。
今回お互いベストの状態で臨めるであろう準決勝は10月13日・土曜日。10時にプレーボールを迎える坊ちゃんスタジアムには早くも激戦の予感が漂っている。
(文=寺下友徳)