試合レポート

川越東vs市立川越

2015.05.01

「市内のライバル対決」

川越東・高橋

 川越東市立川越、現在川越市内を二分するライバル対決となったこの試合、前回昨秋のベスト8での対戦では川越東5回コールド(14-0)で大勝しただけに、リベンジに燃える市立川越がどんな戦いを見せるかが注目された。

 先発は川越東が初戦同様右サイドの磯川が、一方の市立川越は、上尾戦(試合レポート)で完封するなど今大会好調の永光の先発も考えられたが、前回の対戦同様エースの登坂 航大が先発する。これは永光が前回の対戦で川越東打線に9連打を喫していることも影響しているであろう。また、市立川越は相手の先発を左腕の高橋 佑樹と読んだのか右投げ左打ちの登坂以外全員右打者を並べる。

 試合は序盤から両チーム凌ぎ合いの様相を呈す。

 1回表、先頭の野原はフライを打ち上げるが、これをセカンド駒崎が落球し出塁すると、続く前村が送り一死二塁とすると、3番・原田も死球で出塁し一、二塁とするが、磯川が後続を落ち着いて抑える。

 川越東もその裏、一死から2番・吉澤がライト前ヒットで出塁すると、二死後、4番・藤野のショートゴロをショートがファンブルし一、三塁とチャンスが広がるが後続が倒れ無得点に終わる。

 市立川越は2回表にも二死から澤田、北村の連続ヒットで一、二塁とチャンスを作るが後続が倒れ得点を奪えない。

 川越東もその裏、この回先頭の札葉がライト前ヒットで出塁すると、続く星野のショートゴロでショートの二塁送球が逸れ無死一、二塁とチャンスが広がる。だが、続く大南の犠打は登坂の好フィールディングで三塁封殺されてしまう。二死後、1番・福岡高輝のレフト前ヒットで満塁と登坂を攻め立てるが後続が倒れ得点を奪いない。

 中盤からはやや市立川越のペースで試合は進む。

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市立川越・登坂

 4回表、市立川越は一死から上からがレフト前ヒットで出塁すると、続く登坂のエンドランの際に二進する。さらに8番・澤田がセンター前ヒットを放ち二死一、三塁とすると、続く北村が四球を選び満塁と磯川を攻め立てるが、後続が倒れ得点を奪えない。

 市立川越は6回表にも、この回先頭の中祖がライト前ヒットで出塁すると、一死後中祖の盗塁がキャッチャー藤野の悪送球を誘い一死三塁とチャンスを掴む。ここでベンチはゴロゴーのサインを出すが、登坂のショートゴロは本塁封殺に終わりなかなか市立川越は得点が奪えない。

 一方、この日の主審が外に広かったこともあるが、登坂に中盤以降この日走っていたストレートを外角にきっちりと投げ込まれた川越東は3回以降は打線が沈黙する。また、市立川越川越東対策として見せた外野守備、左打者に対しフェンスいっぱいに張り付きセンターが左中間、ライトが右中間に守るというシフトがことごとく当たる。

 両者無得点で迎えた7回表一死、川越東ベンチが動く。今大会ここまで無失点の磯川から高橋へとスイッチする。高橋は絶好調から比べると、やや右打者の外角ストレートの制球に苦しんでいたが、無難に抑え試合は延長へと進む。

 試合が動き始めたのは11回裏、やや疲れの見え始めた登坂に対し、川越東はこの回先頭の駒崎がライト線への二塁打で出塁する。だが、続く藤野はファーストライナーに倒れ走者を進めず、後続も倒れ得点も奪えない。

 そして、迎えた12回裏、この回先頭の大南がライト前ヒットで出塁する。続く高橋はなかなか送れなかったが、強打に切り替えるとこれがレフと前ヒットとなり無死一、二塁となる。ここでさらに1番・福岡の犠打をギャンブルで登坂は三塁封殺を狙うが結果はセーフで無死満塁となり万事休す。最後は吉澤がレフト前ヒットを放ち川越東がサヨナラでベスト8進出を決めた。

 まずは、川越東だが、相手の執念もあり今回は苦しい試合展開であった。それでも勝てたのは磯川と高橋の好投に尽きる。特に今大会の磯川の好投には目を見張るものがある。本庄第一市立川越を無失点に抑えたことも自信につながるであろう。川越東投手陣は完全に二枚看板となったと言っていい。これは夏に向け高橋への負担軽減や今日のように高橋対策として全員右打者を並べるという戦術が使えなくなるということを考えてもプラスである。川越東はベスト8以降さらに選手を試す色合いが強くなるであろう。他の投手の状態も確認したいところだ。

 一方の、市立川越は前回の負け方がよほど悔しかったのであろう。外野がフェンスいっぱいにへばりつくような深い守備位置を取る姿は、まるで浦学など強豪私立相手に実績のない公立高校がみせるようなものだった。昨夏も準優勝と県内の公立高校で1,2を争う強豪としてはかなりプライドを捨てた戦い方だった。それだけに今回は結果が欲しかったのではなかろうか。登坂も良く投げたが今大会打線が振るわなかった。夏は打線の奮起に期待したい。

(文=南 英博

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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