常総学院vs鹿島
第1シード・常総学院が鹿島に勝利し準決勝進出!エース鈴木昭汰は今大会初登板
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常総学院先発・井上真幸投手
[stadium]日立市民運動公園野球場[/stadium]で行われた春季大会準々決勝、第1試合は第1シード・常総学院と鹿島というカード。
先攻・ 鹿島の先発は背番号1右腕・根木 龍斗(3年、鹿島シニア)。球威はそれほどではないが、サークルチェンジを操る技巧派だ。
後攻・常総学院は背番号11の右腕・井上 真幸(3年、土浦霞ヶ浦ボーイズ)。センバツで143キロを計測しその潜在能力の高さにプロスカウトも注目する剛腕。秋季関東大会では四球で自滅したが、センバツではストライク先行の好投を見せ、一冬越して課題のコントロールは克服できたのかと思ったのだが、この日の投球は違っていた。
1回表、井上の投じた1球目が強烈だった。井上は、鹿島1番・宮村 翔(3年、平井中)に対して外角に頭の高さの剛速球を投じ、捕手・高瀬 将太郎(3年、水戸シニア)はのけ反りながらミットに収った。
2番・根木と3番・細田 義眞(3年、鹿島中)は連続死球。5番・櫻井 涼(3年、神栖二中)もストレートの四球で二死満塁とすると、6番・笠掛 政貴はフルカウントから押し出しの四球を選び、鹿島が1点を先制する。なおも二死満塁とし、7番・正木の初球がボールとなったところで、常総学院ベンチは井上に代えて2番手に菅原 一泰(3年、世田谷サムライボーイズ)をマウンドへ送る。菅原は正木をサードゴロに仕留めピンチを凌ぐ。(鹿島1対0常総学院)
1回裏、先制を許した常総学院はすぐに反撃を仕掛ける。先頭の宇草 孔基(3年、墨田シニア、18U日本代表候補)が右中間三塁打で出塁すると、2番・陶山 勇軌(1年、城南ボーイズ)のセカンドゴロの間に生還し同点に追い付く。
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本塁打の和田慎吾選手
2回裏、常総学院は先頭の6番・高瀬がピッチャー強襲ヒットで出塁。一死から8番・皆神 裕平(3年、波崎三中、オール茨城)の送りバントがヒットとなり一死一、二塁とすると、9番・菅原はセンター前ヒットでつなぎ一死満塁のチャンスに。しかし、後続が抑えられ、追加点は奪えない。
3、4回も、鹿島エース・根木の緩急が冴える。また、鹿島ファースト・寺内の横っ飛びからの投内連携で、常総学院の7番俊足・常総学院竹内 諒(3年、川崎中央シニア)をアウトに仕留める好守備が飛び出し、常総学院は鹿島の堅い守りの前にホームが遠い。
それでも、5回裏。常総学院は、二死から2番・陶山がレフト線に落とす二塁打で出塁すると、3番・石井 大貴(3年、千代川中、オール茨城)のレフト前ヒットで二死一、二塁。ここで4番・和田 慎吾(3年、八千代中央シニア、18U日本代表候補)が初球をレフトスタンドに運び常総学院が3点を勝ち越す。ここで鹿島はマウンドにライトを守っていた左腕・宮村 翔を送り、大量点は許さない。
6回裏、鹿島は再びマウンドに根木を送り、宮村はライトへ戻る。常総学院は一死から7番・竹内がセカンド前に転がる絶妙なプッシュバントで出塁すると、4つの牽制をもらったあと盗塁を成功させ一死二塁。8番・皆神の打球は三塁手の脇を抜け一死二、三塁。9番・菅原のライトファールフライが犠牲フライとなり、常総学院が5得点目を追加する。なおも二死三塁から、1番・宇草は初球をライト前に運びさらに1点を追加。
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常総学院エース・鈴木昭汰投手
9回表、常総学院はマウンドにエース左腕・鈴木 昭汰(2年、土浦霞ヶ浦ボーイズ)を送る。なんとか反撃をみせたい鹿島だったが、今春の公式戦初マウンドを迎える鈴木に抑えられる。最後は、センターフライ、セカンドゴロ、ライトフライと落ち着いた投球で三者凡退に仕留められ、試合終了。
第1シード・常総学院が6対1で鹿島を下し、準決勝進出を決めた。
鹿島は2回以降、散発2安打で1度も二塁を踏むことができなかった。
攻撃では手玉に取られた形だが、守備では失点に絡むエラーはなく、2人の投手が常総学院打線を相手に13安打されながらも6失点と要所を締め、ビッグイニングを防いだ。
常総学院4番・和田 慎吾はバットの先で鈍い打球音をさせながらも、94メートルの左翼フェンスを楽々と越え、2戦連続となる本塁打を放った。昨秋、練習試合と公式戦で何度か見る機会があった和田だが、公式戦の記録は24打数7安打、長打は二塁打が1本のみと、秋の時点では怖い打者だという印象を全く受けなかった。それが一冬越して、[stadium]甲子園[/stadium]練習で3本の柵越えというニュースに始まり、センバツの米子北戦(試合レポート)でソロ本塁打、今大会は2試合連発と、成長をこれらの記録が如実に示している。実際に打撃を見て、秋とは別人のようだと感じた。
先発した井上 真幸は、140キロを優に超すストレートを持ちながらコントロールが定まらず、投じた25球のうちストライクが7球。四死球4、失点1と非常に苦しい内容だった。後を引き継いだ菅原 一泰はストライク先行で被安打2、無四球とリズム良く試合を作った。
3番手にマウンドに上がったエース左腕・鈴木 昭汰は、センバツの今治西戦(試合レポート)で最速を140キロの大台に乗せるなど、順調に成長している。この日は7球しか投じていないが、次戦・関東大会出場をかけた第4シード・石岡一との一戦での登板があるのであれば、楽しみだ。石岡一エース・木村 玲央との左腕対決は非常にレベルの高い投手戦となりそうだ。また、一発でひっくり返せる力が備わる上に、足でも崩せるようになった常総学院打線が、木村をどう攻略していくか注目したい。
(文=伊達 康)