試合レポート

大島vs鹿児島玉龍

2015.09.26

最大のピンチ、最高の好守でしのぐ・大島

渡 秀太 (大島)

 鹿児島玉龍は初回、二死ながら満塁のチャンスを作ると、6番・島津智隆(2年)の二ゴロがエラーを誘い、2点を先制した。

 2点を追いかける鹿児島大島は2回、一死満塁から死球押し出し、1番・武田健志(2年)の内野ゴロで同点に追いつき、2番・大山竜生主将(2年)のライト線二塁打で逆転に成功した。3回以降得点機を生かせず、追加点が奪えなかったが、2回以降立ち直ったエース渡秀太(2年)が鹿児島玉龍打線を抑えた。

 7回、二死から4番・上原勇人(2年)のライトオーバー三塁打、5番・太月幸(1年)のライト前タイムリーで待望の追加点。8回表無死一三塁のピンチも遊撃手・大山の好送球でしのぐと、その裏に1番・武田健のライト線三塁打でダメ押しの追加点を挙げ、接戦をものにした。

 鹿児島大島の勝利を決定付けたのは、8回表のピンチをしのいだ遊撃手・大山主将の好送球だった。
 7回裏に待望の追加点を挙げた直後の守備だった。先頭打者にプッシュバント気味の内野安打、続く4番・中島克大(2年)にエンドランを決められ、わずか2球で無死一三塁のピンチを背負う。

 守る側は、いろんな状況に対応しなければならないが「三走を返して1点はOK」(渡邉恵尋監督)と、覚悟を決めて守らなければならない。5番・宮園大輝(2年)の強襲打が、エース渡のグラブに収まる。「竜生の肩の強さならきっとアウトをとってくれる」と渡が二塁ベース上の大山に送球。普通なら一塁に転送して併殺をとり、三走の生還はOKのところだが、「三走がスタートを切ったのが見えた」大山は「握り直しても十分間に合う」と瞬時に判断し、捕手・上原が低めに構えたミットに正確無比のストライク送球をやってのける。「ミットを置くだけでよかった」上原が難なくアウトをとり、併殺成功。1点もやることなく、最大のピンチを最高の好守でしのぎ、勝利への流れを大きく手繰り寄せた。

 最終的に勝利は収めたが、序盤から苦しい展開だった。初回に堅守のチームらしからぬエラーで2点を献上。すぐさま逆転に成功したが、3―5回と毎回先頭打者を出しながら、拙攻で追加点が奪えなかった。

 それだけに大山が好守で盛り上げたことは値千金の価値があった。「ボールや、動きをよく見ている」と渡邉監督。日頃のノックもさることながら、フリー打撃で守備についていても「よくこんなのが捕れるなぁ」(渡邉監督)と感心するほど難しい打球をさばくという。その積み重ねを、緊迫した場面で生かすことができた。「厳しい展開だったけど、良いプレーができて、終盤追加点を取れたのが良かった」と大山主将は安どの表情を浮かべていた。

(文=政 純一郎


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!鹿児島県の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

【北北海道】北見支部では北見工が33得点の圧勝でコールド発進【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】