試合レポート

愛知産大三河vs中京大中京

2017.10.01

名門に臆せず、愛知産大三河が中京大中京下し15年ぶり秋の東海大会へ

愛知産大三河vs中京大中京 | 高校野球ドットコム
松原絃介(愛知産大三河)

 今月上旬から始まった秋季愛知県大会も、いよいよベスト4激突となった。実質、来春のセンバツ出場のかかる重要な大会となる東海地区大会への進出を目指して、まずは県大会では上位3校に入る必要がある。決勝進出を果たせば、まずは、その権利をクリアすることになる。

 先週の準々決勝、小牧市民球場で試合を待っていた愛知産大三河の選手たちは、前の試合の「中京大中京愛工大名電」の試合を、「おーーっ!」「すげぇなぁ」と、県を代表する強豪対決の試合を見つめていた。そんな選手たちを見て、櫻井春生監督は「何を言っとるんだ、お前たちも一緒の舞台におるんだぞ」と、選手たちに言ったという。その反応でも察せられるように、愛知産大三河の選手たちは、野球部で頑張っている普通の生徒たちだということでもあろうか。

 そんな愛知産大三河に対して中京大中京は初回、先頭の古瀧君が中前へ安打するとわずかなスキを突いて二塁へ進む。さらにけん制悪送球で三塁へ進むと、続く小河原君の中犠飛であっさりと先制した。いわば、「すごさ」を見せつけたかの印象でもあった。

 しかしその裏、愛知産大三河も失策に乗じて四球と4番上田君の安打で一死満塁として、5番櫻井仁生君の左犠飛ですぐに同点とする。「強豪に対しても、臆することはないぞ」という心意気を示した。そして、すぐに同点に出来たことで、試合そのものの展開も変わってきたのではないかと思わせるようになってきた。

 愛知産大三河はさらに2回にも、先頭の7番佐々木大輔君が中前打すると、9番高橋大地君も一二塁間を破るなどで一死一三塁。ここで、1番石川颯人君がスクイズを決めてリードを奪う。

 追いかける立場となった中京大中京は、愛知産大三河の先発松原絃介君に対して、もう一つ的を絞り切れない。やや打ちあぐんでいた状態が続いていたが5回、7番谷中航君が左翼へソロホーマーして何とか同点に追いつく。

 そして6回、中京大中京は二死一塁から6番今泉君の右中間二塁打が出てようやくリードをする。


 ところが、愛知産大三河の気持ちは、さらに上だった。その裏すぐに、先頭の6番石原君が中前打すると、内野ゴロで進め、8番松原君から、高橋大地君、石川君と3連打で同点から逆転。さらに相手失策も誘って追加点。代った坂口君からも暴投や犠飛で追加点を挙げて、この回6点というビッグイニングを作った。中京大中京の高橋源一郎監督は、この回に3点を奪われたところで、浦野君を一塁に入れ、坂口君をマウンドに送ったが、愛知産大三河の勢いは止まらなかった。

 愛知産大三河は7回にもスクイズで追加して、長打はなくても手堅く得点していった。各打者が鋭くバチンとはじき返していくシャープな打撃。さらには、それをもたらしたのは、エンドランなどを仕掛けながらの積極的な姿勢でもあった。とにかく、転がしていこうという指示で、それが功を奏した。

 愛知産大三河としては15年ぶりの秋季東海大会進出となったのだが、櫻井監督は「実は、昨日から文化祭があったりして、いつも通りと言いながら、そうじゃない中だったので、選手たちもちょっとイライラしていたところもあったんですけれどもね。でも、選手たちは今の段階で出来ることをやってくれました。気持ちが安定してきたということでしょうね」と、選手たちのメンタル面での成長を評価していた。

 また、投手に関しては、先発の松原君が強気に内角を攻めていったということも、「一つ間違えたら、長打を浴びるところでもありますけれども、よく投げました」と、勝因の一つに挙げていた。最後の一人に対して、一塁手の上田君と松原君が入れ替わったが、それは明日を見据えて「岡崎球場のマウンドにならせておきたかった」ということである。ピシャリとは行かなかったものの、何とか上田君が抑えていった。

 8回には澤井君の本塁打も出た中京大中京だったが、長打は出ても単発で、繋がっていかなかったことも痛かった。高橋監督としても、一番よくない展開で、試合中に修正しきれなかったということも痛かった。

(文=手束 仁

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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