試合レポート

昌平vs三郷北

2019.04.15

投打にタレント揃いの昌平 5回コールド勝ちで県大会へ!

昌平vs三郷北 | 高校野球ドットコム
渡邉翔大(昌平)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 昨夏ベスト4の昌平。昨秋は花咲徳栄に敗れ、地区予選敗退となったが、それでも力のあるチームであることは変わりない。この試合も自力の高さを存分に発揮した試合となった。先発はエースの米山ではなく、右腕の市来が先発。まず市来は1回表、無死一、三塁のピンチを招きながらも粘り強い投球で1回無失点で抑える。

 1回裏、昌平は一死から2番千田泰智(2年)がライトの頭を超える長打に。千田は自慢の俊足と敵失で一気に本塁へ生還。2回裏には5番吉野哲平(2年)はライトへ適時三塁打を放ち、無死一、三塁から7番尾崎の犠飛で1点を追加。8番市来の右前適時打で3点目。さらに一死一、三塁から1番吉野創士(1年)のレフトへ痛烈な適時二塁打で4点目。5番千田の中前2点適時打で6点目。さらに4番渡邉翔大(2年)の適時二塁打で7点目を入れた。

 3回裏には6番佐藤克樹(3年)の本塁打、無死一塁から牽制ミスからで一気に生還し、9点目。その後、スクイズもあって、10対0とした。

 昌平の打者のレベルは高度。昨秋の県大会上位に入ったチームと比べても、決して負けていない。スタメンに出ている3年生はわずかに2人。新2年生たちのレベルの高さがずば抜けている。

 まず体つきを見ると、腰回り、下半身の太さはがっしりしている。本塁打を打った佐藤によると2日に1回のウエイトトレーニング、また食トレでしっかりと打者のスイングを見ると、腰が据わっていて、しっかりと腰をさせて振り抜く打撃フォームができていること。

 その中でピックアップしたいのが2番千田、4番渡辺、5番佐野哲の3名だ。

 千田はバットコントロールが高く、なんといっても魅力は足。ベースランニングは非常に速く、トップスピードに乗ってからの走塁に注目。センターの守備も左中間へ抜けそうな打球をダイビングキャッチ。その姿は元ロッテの岡田幸文を思い出すものがあった。このプレーを象徴するように球際に強く、肩はあまり強くないが、コンパクトな送球を心がけている。

 渡邉は2020年度を代表するスラッガーになるかもしれない逸材。177センチ78キロとがっしり体型をしていて、スクエアスタンスで構える雰囲気はただならぬ気配を感じさせる。トップを深く取ってから、インパクトまでのスイングが尋常ではない鋭さがあり、2回裏の打球はものすごい速度が抜けていった。高校2年春ながら高校通算21本塁打を記録している。ゴツゴツしていて、捉えたらどこよりも飛ばす雰囲気は安田尚憲履正社-千葉ロッテ)の高校2年生時を思い出させる。

 また外野守備を見ていても肩の強さはあり、ベースランニングを見るとスラッガータイプでありながら、脚力の高さも平均以上のレベルにあったので、今後の試合も注視していきたい選手だ。

 佐野哲もボールを手元まで呼び込んで右中間へ鋭い打球を放った打撃は見事で、高校2年生にしては中々のレベルの選手だ。甘く入った変化球を軽々と本塁打にできる技術を身に付けると、さらに騒がれそうな選手。三塁の守備を見ていても肩の強さは中々で、攻守ともにバランスがとれた選手といえるだろう。

 またパンチ力があり、強肩が光る主将・佐藤捕手、そして1年生ながらスタメン出場し、独特のスイング軌道で長打を記録。さらにシートノックでも鋭い返球を見せた吉野創と今年の昌平はタレント揃いなチームだ。

 昌平の打者を見るとそれぞれの選手が個性を発揮して、その選手にあったスイング軌道をしている。主将の佐藤は「自分にあったスイングをすることがチームのテーマです」と語るように、見ていて面白さがあった。

  その昌平を代表するのがエースの米山魁乙だ。米山は4回表から登板。最速138キロのストレートは明らかに球速表示以上のものを感じさせ、2イニングを全球ストレートであっさりと退けた。本人も調子が良かったと話すように、筆者は今年に入って多くの140キロ台を計測した右腕・左腕を見てきたが、彼らと比較しても負けていない質の良さを感じさせた。米山に関しては別の機会で詳しく紹介したい。

(取材・記事:河嶋宗一

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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