試合レポート

明徳義塾vs鳴門

2012.05.07

明徳義塾vs鳴門 | 高校野球ドットコム

明徳義塾、春の四国王者に

明徳義塾、「腹八分目」で春の四国王者に!

表情を変えず挨拶に並び、淡々と校歌を歌い上げ、粛々と表彰式に臨む。
その光景は3年前、石橋良太(現:拓殖大3年)を主将・エースに押し立て優勝を果たした平成21年(2009年)第62回大会の優勝時と全く同じであった。

選抜大会ベスト8鳴門が相手の決勝戦。
現在の四国地区の高校野球における頂上決戦にあっても、明徳義塾の選手たちに気負いは全くなかった。1回と3回に4番・西岡貴成(2年)が連続適時打を放つと、4回には今大会3連投となった小方聖稀(2年)が自らを助ける適時打。5回には最終的には4打数4安打をマークした3番・伊與田一起(3年)のレフトオーバー適時三塁打に続き、西岡も犠飛で続いて計5得点と、前半でほぼ試合を決めてしまったのである。

後半に入っても明徳義塾の勢いは変わらない。徳島ホークス(ヤングリーグ)出身の小方は「平行移動しながら投げる」と馬淵史郎監督からのアドバイスを体現し、7回途中まで94球、5安打4四死球で自責点1と試合を作った。
続く岸潤一郎(1年)は疲労から7回に1番・河野祐斗(2年)に適時打、8回に7番・松本高徳(2年)に犠飛を与えるも大きな崩れはなし。9回は福永智之(3年)が危なげなく試合を締めた。

一方の打線も生光学園中(ヤングリーグ)出身の西岡が7回に再び適時打を放ち、準決勝から8打数連続安打の偉業を達成。
「徳島県のチームには負けられない」と気持ちを力に変えた徳島県出身選手2人の活躍は、徳島ホークス時代は小方とバッテリーを組んだ鳴門5番・伊勢隼人(2年)をしても「昔の小方は打たれたら崩れていく奴だったが、今はまったく違う」と舌を巻かせるほどだった。

ただ、冒頭に述べたように明徳義塾の側に緩みはない。馬淵監督は大会を振り返り、こう話す。

「まだチームは未完成。打順もまだ決まっていないし。投手の数ができたのは良いことだけどね」。

そして3月の部長就任以来、公式戦9戦負けなしを続ける佐藤洋部長が試合後最初に話した言葉もこうであった。

「(9回・二塁ベース寄りの打球を2本安打にした)髙橋拓也(2年)の守備。杉原賢吾(3年)のリードやバント。高知県体育大会(5月19日~21日開催)へ向けて、いい課題ができました」。

そう、彼らのお腹はまだ「腹八分目」。最初の満腹感は甲子園出場の瞬間までとっておく覚悟だ。

(文=寺下友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.26

【岩手】27日に抽選会!春6連覇の花巻東と、春準V・盛岡大附の「2強」が軸<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.26

低反発バットなど関係ない!“飛距離モンスター”マーティン・キャメロン(東海大札幌) に大爆発の予感!

2024.06.26

【山形】27日に抽選会!県内10連勝の鶴岡東が中心、日大山形が対抗馬<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】