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蘇った天才・岸潤一郎(西武)の頭脳は「明徳義塾の馬淵野球が8割」! 勝ちにこだわる野球で低迷するチームの救世主となれるか? 【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.25』】

2024.06.30


明徳義塾時代の岸潤一郎

皆さん、こんにちは!! 『高校野球ドットコム』の河嶋です!今回は西武・岸 潤一郎外野手(明徳義塾)について振り返っていきたいと思います。

最下位に苦しむ西武ですが、岸選手は4番センターとして48試合に出場していて5本塁打、18打点、打率.260と奮闘しています。明徳義塾時代はエースとして4度の甲子園出場。6勝をあげ、U-18代表にも選出されました。投打ともに高いパフォーマンスを発揮し、天才とも評されていました。

投打ともに大活躍だった2014年の長崎国体

岸選手を生で見ることになったのは2014年のU-18代表のこと。アジア大会に臨んだ岸選手は投手と野手を兼任していました。投手としてはやや物足りなさを感じました。もともとヒジの位置が低い投手でしたが、好調なときと比べると、リリース位置が低く、やや力任せな感じで投げているのが気になりました。スピードも130キロ後半ぐらいで、ストレートの勢いはあまりありませんでした。打者としては木製バットに苦しんでいる感じでしたが、そつなく外野を守っていました。

U-18で戦った岸 潤一郎(明徳義塾出身)

そして「野手・岸」のほうがよいと確信したのが、同年10月に行われた長崎国体でした。初戦の沖縄尚学戦ではサイクルヒットを達成。投げても1失点完投勝利を挙げます。この快挙に出来過ぎと本人も語っていました。
続く敦賀気比戦でも本塁打を放ち、初戦と準々決勝の2試合で9打数6安打2本塁打6打点と大当たりでした。準決勝と決勝戦では連戦となり、準決勝の八頭戦ではショートとしてスタメン出場していました。それまであまり経験がないといいますが、1つ1つの所作にキレがあり、強肩も光っており、鍛え込んでいけば楽しみな選手に映りました。決勝の健大高崎戦では2失点完投勝利を収め、優勝に大きく貢献しました。

長崎がんばらんば国体2014を優勝した明徳義塾ナイン

この大会では3試合に登板し、27イニングで、自責点2。防御率0.66と抜群の安定感を示し、打者としては19打数12安打と大当たり。打率.631、2本塁打、9打点とまさに文句なしのパフォーマンスを見せました。投手としても140キロの速球を連発する試合もいくつかあり、状態は良さそうに見えました。
岸選手も「夏は負けて終わっていたので、国体で勝ち進むうちに、最後は勝って終わりたいと思うようになりました。とにかく連戦だったので、体は限界でしたが、こうやって勝つことが出来て本当に嬉しいです。僕はまだ野球を続けますが、高校野球に関しては良いイメージで完全燃焼することが出来ました」と笑顔で振り返っていました。
投打ともに活躍していましたが、安定感のある投球よりも、とてつもない打球を飛ばしていた野手のほうに私はインパクトを感じたのでした。

明徳義塾時代の岸潤一郎

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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