試合レポート

横浜vs下妻二

2011.11.01

横浜vs下妻二 | 高校野球ドットコム

7回裏横浜 樋口が2ラン(横浜)

点と線

両チーム同じ11安打。だが結果は8回コールドの8対1と大差になった。
同じだけヒットを放ちながら、なぜこの結果になったのか。攻撃が線になった横浜と、点にしかならなかった下妻二にその違いが見える。
序盤からゲームを支配していたのは、下妻二。エースの諏訪洸(2年)は、3回までパーフェクトピッチングと最高の立ち上がり。攻撃では横浜のエース・柳裕也(2年)を毎回のように攻め立て、得点圏にも走者を出した。1点を取るのは時間の問題と見られていた。しかし、その1点が中々入らない。

2回には1死1、3塁から9番の粟野拓也(2年)が3バントスクイズを試みるも、横浜バッテリーに見透かされ、三振併殺と最悪な形に終わった。序盤からスクイズという、とっておきの策を使うなどあと1本が出ないというより、攻撃を急いでしまった形の下妻第二。「打たれる方が嫌だったので、あそこでスクイズだったのは助かった」と横浜・渡辺元智監督は相手の急いだ攻撃を見つめていた。

4回、好投していた諏訪が一つのエラーをきっかけにつかまる。4番山内達也、5番田原啓吾(ともに2年)の連続タイムリー二塁打で3失点。さらに6番の青木力斗(2年)が三塁前にバントヒットを決めるなど、下妻二守備陣は撹乱されていった。

打順が一巡して、「諏訪投手はデータ通り、直球かスライダーだったのでどちらかに絞っていけ」という指示を出していた渡辺監督。横浜伝統の一気に畳みかめる攻め。4連打が示す通り、攻撃が完全に〝線〝になった。


横浜vs下妻二 | 高校野球ドットコム

下妻第二 荻野純平

5回表、下妻二は1死から1番荻野純平(2年)がライトスタンドへ一発を放ち1点を返した。さらに2番染谷雄士(2年)と3番諏訪が連打で出ると、4番藤本翼(2年)は相手の失策を誘って満塁に。一気に同点、逆転まで狙える形を作った。
しかし5番の新山直樹(2年)がショートゴロ併殺に終わりチャンスはあっという間に逸する。得点は本塁打による1点だけと、ここでも攻撃は〝点〝にしかならなかった。

7回、横浜は内野ゴロの間に1点を加えると、3番樋口龍之介(2年)が試合を決定づける2ラン。8回にも1点を加え7点差とすると、最後は1番宍倉和磨(2年)の三塁ゴロが、野手の手前でイレギュラーして外野に抜け、走者が生還しコールドゲームになった。
最後の打球がイレギュラーするという不運が、攻撃で急いでしまったこの日の下妻二を象徴しているようでもあった。

横浜の柳に対し、三者凡退は1回もなし。これだけ攻め立てながらわずかに1点。横浜の本塁を許さなかった守りは讃えられるが、下妻二としては、いかに攻撃しきるのが難しいかをこの試合で味わったであろう。
渡辺監督の「勝てたのが不思議なくらい」という言葉がこのゲームの全てであった。

(文=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.27

慶應ボーイの学生監督が率いる慶應志木 来る夏は「現役の時よりも緊張するかもしれません」

2024.06.26

【南北海道】函館支部では函館大有斗が9回サヨナラ、函館大谷はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.06.26

【南北海道】室蘭支部では、第3シードの苫小牧東と鵡川が初戦に挑む【2024夏の甲子園】

2024.06.26

低反発バットなど関係ない!“飛距離モンスター”マーティン・キャメロン(東海大札幌) に大爆発の予感!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!