試合レポート

山村学園vs昌平

2017.09.27

1年生左腕・和田 朋也の投打の活躍で山村学園ベスト8進出!

山村学園vs昌平 | 高校野球ドットコム
和田(山村学園)

 1年生左腕・和田 朋也を筆頭に今夏ベスト4のメンバーを多く残す山村学園対ほぼスタメン全員が今夏を経験している昌平という共に経験の高いチーム同士の一戦は、終盤までもつれる展開となった。

 先発は、山村学園・和田、昌平福田 龍登(2年)と両エースが先発したこの試合、両投手がその持ち味を発揮し投手戦となる。

 まず山村学園・和田だが、今夏山村学園をベスト4に導いた立役者であり、1年生ながら恵まれた体格からMAX130中盤の直球に大きな変化球を交える完成度の高い投手だ。一塁牽制もうまく、単発で長打こそ浴びるが、そこからギアを上げ昌平打線に連打を許さない。

 一方の昌平・福田も直球はMAX120km台だが、制球が良く、インコースを消してくる山村学園打線に対し、この日は直球、スライダー共に徹底してインコース攻めを見せ、強打の山村学園打線に対しなかなかフルスイングを許さない。

 

 先に大きなチャンスを掴んだのは昌平であった。2回裏、この回先頭の谷口 颯(2年)が右中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く福地も四球を選び無死一、二塁とチャンスを広げる。6番・菅野 康平(2年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、ここで続く高梨 大樹(2年)の所で昌平ベンチはセーフティティースクイズを敢行する。これは失敗に終わるが、8番・塚田が敬遠気味に歩かされ二死満塁となると、続く福田が三振に倒れ絶好の先制機を逃す。

 先制したのは山村学園であった。4回表、この回先頭の深田 竜二(2年)がショートへの内野安打で出塁すると、続く長谷川がきっちりと送り一死二塁とする。さらに6番・櫻澤が死球で出塁し一死一、二塁とチャンスが広げると、続く川島がセンター前へタイムリーを放ちまず1点、さらに一走・櫻澤も三塁を奪い一死一、三塁と追加点のチャンスを迎える。だが、ここで山村学園ベンチは8番・和田の所でセーフティースクイズを敢行するが、打球はフライになり、何故か三走・櫻澤が飛び出してしまう。当然併殺となり1点でこの回の攻撃を終える。

 山村学園は5回表にも、この回先頭の大塚が死球で出塁すると、続く木内 輝(2年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに、2番・横田がライト前ヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げるが、後続が倒れまたしても追加点のチャンスを逃す。


 すると、その裏昌平は一死から1番・佐々木 涼太(2年)が右中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く廣田 龍一(2年)も左中間を破るタイムリー三塁打を放ちすぐに1対1の同点に追いつく。さらに、一死三塁とチャンスは続くが、ここは山村学園・和田が踏ん張り3,4番を抑え勝ち越しは許さず試合は終盤へと進む。

 両投手100球前後になりやや疲労の色が見え始め7回裏、8回表と共に先頭打者に四球を与える。ここが分岐点だった。まずは昌平の攻撃、無死一塁で終盤、バントが予想される場面で山村学園・和田は巧みな牽制で一走を釘付けにし、相手の犠打に対し二塁封殺すると、後続も併殺で乗り切る。それに対し、山村学園が同じチャンスを得た場面、昌平ベンチはピッチャーを左腕の米山 魁乙(1年)へ交代する。だが、結果的にはこれが裏目と出た。元々先発は米山と読み、ここ数日左腕攻略の練習をしてきた山村学園打線は俄然活気づく。MAX130km後半の米山に対し、代わり端こそ犠打失敗などで進められず二死一塁とチャンスは萎んだかに思われたが、途中出場の小林がライト前ヒットを放ち二死一、二塁としチャンスを広げると、続く和田が左中間を破る2点タイムリー三塁打を放ち貴重な勝ち越し点を奪う。

 この自らの手で奪った2点により息を吹き返した和田は、その後の2イニングをピシャリと抑え3対1で山村学園昌平に競り勝ちベスト8へ駒を進めた。

 まず昌平だが、この日先発福田は良く投げた。米山も良く投げていたが勝負球が甘くなってしまったのは今後の課題であろう。打線も好投手・和田に対し4本の長打を浴びるなど、その実力の一端は見せたが、捉えるまでは至らなかった。元々ほとんどのメンバーが今夏を経験した選手だけに、今大会ここでの敗戦は痛恨であろう。だが、和田のような投手を打ち崩さないと上へは行けない。その事を肝に銘じ、投打にもうワンランク上の完成度を目指し冬の練習に取り組んで欲しい。

 一方の山村学園だが、この日はまさに和田に尽きる。彼の投打の活躍がなければさらに厳しい試合展開になっていたに違いない。とはいえ、中盤以降毎回のように先頭打者を出しながら3度犠打の失敗でなかなか突き放せなかったのは今後への反省材料だ。というのも、次の相手はMAX140km越えの米倉 貫太擁する埼玉栄が相手だからだ。こういうミスが致命傷になるだけに修正が必要であろう。埼玉栄打線は強力で和田もここまでかなりのイニングを投げているだけにある程度の失点は覚悟しなければならない。ここはこの日ややつながりを欠いた打線の奮起に期待したい。

(文・写真=南英博)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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