試合レポート

尽誠学園vs高松商

2016.07.25

尽誠学園、強打高松商を「スミ1」に仕留め、9年ぶり甲子園!

 前日の準決勝に続き、決勝戦を目前にした[stadium]香川県営野球場(レクザムスタジアム)[/stadium]周辺には大交通渋滞が発生。[stadium]香川県営野球場(レクザムスタジアム)[/stadium]の臨時駐車場までも埋め尽くす自家用車の車列。これも高松商のセンバツ準優勝によって巻き起こる「香川県高校野球ブーム」の象徴的出来事である。そして、観衆はブームからサプライズを目にすることになった。

 とはいえ1回表・高松商の攻撃時点ではその兆候はなかった。1番・安西 翼(3年・中堅手・右投左打・170センチ63キロ・高松ボーイズ出身)がいきなり右前に運ぶと、2番・米麦 波留(1年・三塁手・右投左打・167センチ64キロ・香川県立高松北中出身)もバスターを決め無死一・二塁。そして一死一・三塁から4番・植田 響介(3年・捕手・181センチ85キロ・右投右打・東かがわ市立白鳥中出身)がセンターへきっちり犠牲フライ。5試合連続となる初回先制点は、高松商の春夏連続・20年ぶり20度目の甲子園出場を切り開く序章となると思われた。

 しかし、9年ぶり11度目の名門復活を期す尽誠学園の4番が、そんなムードを吹き飛ばす。2回裏先頭打者の松井 永吉(3年主将・三塁手・右投左打・ナガセボーイズ<大阪>出身)は高松商先発・大熊 達也(3年・174センチ74キロ・右投右打・高松市立太田中出身)が投じた内角スライダーをジャストミート。ライト芝生席への大会第18号同点アーチが、尽誠学園大逆襲の口火となった。

 3回裏には一死二塁から3番・山地 健斗(2年・一塁手右投左打・173センチ66キロ・善通寺市立東中出身)の一塁手後ろへ落とす渋い適時打で勝ち越し。4回裏には二死満塁から2番・土井 力丸(3年・遊撃手・162センチ52キロ・松永ヤンキース<広島・軟式>)の二塁内野安打で3点目。5回裏には一死一塁から前日の準決勝・観音寺中央戦で試合を決める2ランを放った6番・宮川 魁成(3年・左翼手・177センチ85キロ・姫路アイアンズ<兵庫・ヤングリーグ>出身)の右越二塁打で4点目。真綿で首を締めるように彼らは明治神宮大会王者を苦しめていった。

 さらに尽誠学園は守っても先発・渡邊 悠(3年・181センチ82キロ・左投左打・三木町立三木中出身)が内角へのストレートと右打者へのチェンジアップを有効に使ってしり上がりに状態を上げ2回以降は連打を許さず、6回以降はパーフェクトピッチ。7回には自らを助ける適時打。これでは高松商の強打線もなすすべはなかった。

 かくして14時22分、マウンド上に集ったのは「尽誠」を胸にした歓喜の輪。これまで何度も先輩たちが挑み、涙を流してきた強豪復活のミッションを、彼らは9年ぶり11度目となる夏の甲子園出場で叶えたのであった。

 そんな歓喜を見ながら一塁側ベンチで涙を流す高松商。しかし、明治神宮大会優勝センバツ準優勝を成し遂げた彼らの栄光は決して色あせるわけではない。香川県民に元気と勇気を与えた「TAKAMATSU」のユニフォームと6本線ストッキングは、これからの後輩たちに引き継がれていく。

(文=寺下 友徳)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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