神戸弘陵vs柳学園
試合シーン
シード校の神戸弘陵、開幕戦を制した柳学園の勢いを止め3回戦進出
昨夏の東兵庫大会で準優勝し、一昨年の兵庫大会はベスト4。春の県大会ベスト8のシード校・神戸弘陵が、開幕戦で12安打9得点をあげ勢いのある柳学園との初戦に挑みました。
神戸弘陵の先発は、20年ぶりの夏の甲子園出場を託された3年生エース平間 修。184センチの長身を活かし、角度がある140キロのストレートで攻める右の本格派です。その平間の立ち上がりを、打撃好調の柳学園が攻めます。
1回、開幕戦4打数2安打1打点とあたっている1番・原が、いきなりライト線に3べース。3番・三宅も四球と盗塁で続き、1アウト2・3塁のチャンス。しかし、神戸弘陵のエース平間は、落ち着いていました。4番・宮村をライトフライ。5番・中野 恒太をセカンドゴロに打ち取り、先制点を与えません。
3回にも柳学園は、1アウトから1番・原が左中間に2打席連続の3ベースヒットを放ち、先制のチャンスをつかみますが、3塁ランナー原が、ベースから飛び出したところを、神戸弘陵陵のキャッチャー寺本が見逃さず、サード橋爪に送球してタッチアウト。またも、先制点をあげられません。
これで神戸弘陵のエース平間も、立ち直りのきっかけをつかむかと思われた4回、先頭バッターの3番・三宅に、この日3本目の3ベースをレフトに打たれます。さすがに3度目のチャンスは逃がさない柳学園は、4番・宮村がセンターに犠牲フライ。ようやく1点を先制します。
しかし神戸弘陵はその裏、先頭バッターの3番木下が、左中間3ベースで出塁すると、1アウトから5番・内藤のショートゴロの間に、3塁ランナーの木下がホームイン。あっさりと1対1の同点に追いつきます。
5回からは、開幕戦を7回4安打で完投した2年石田が、先発の1年藤井をリリーフし、7回まで神戸弘陵打線をノーヒット無得点に抑え、徐々に調子が上がってきた平間と投手戦を展開しました。
そして8回、柳学園は先頭バッターの8番・松倉のレフト前ヒットと9番ピッチャー石田の送りバントでランナーを2塁に進め、2番・森本のセンター前ヒットと3番・三宅の四球で、2アウト満塁の勝ち越しのチャンスを作りますが、ランナーを背負っても得点を与えないエース平間は、4番・宮村をファースト・ファールフライに討ち取り、試合の流れを渡しません。
その裏、神戸弘陵は、9番・橋爪が死球、1番・田中がサード前のバントヒット、2番・木多がピッチャーのエラーで、ノーアウト満塁。ここで柳学園2番手の石田が、この回2つ目の死球を3番・木下に与えて押し出し。神戸弘陵が2対1とようやく均衡を破ると、4番・寺本がレフト前タイムリーで3対1。5番・内藤も、変わったばかりの柳学園3番手ピッチャー竹中からレフト線を破る走者一掃のタイムリー2ベースを放ち、中継が乱れる間に3塁に進んだあと、パスボールでホームイン。神戸弘陵はこの回、打者9人の猛攻で、一挙6点を取って勝負を決めました。
9回、神戸弘陵のエース平間は、柳学園打線から2三振を奪い、3者凡退7対1でゲームセット。3回戦で神戸北と対戦することになりました。
神戸弘陵のエース平間は、8三振を奪ったものの打たれたヒットは、3ベース3本を含む6安打で3死球。本来のピッチングではありませんでしたが、要所をしめて失点1に抑えたピッチングは、さすがにプロ注目の好投手。これから勝ち進むにつれて、調子を上げていきそうです。
また柳学園は、昨夏の西兵庫大会ベスト16の主力選手が卒業したため、多くの1・2年生を起用しての戦いでしたが、開幕戦を突破しシード校の神戸弘陵と7回まで互角の勝負をしたことは、新チームに大きな財産を残しました。去年秋の大会後、右ひじを手術し今夏の兵庫大会には出場できなかった2年の渡辺投手が復帰すれば、1・2年生の投手陣が5人となるだけに、今秋以降も楽しみです。昨夏の西兵庫大会で洲本が準優勝し、「淡路の高校野球」復活の兆しが見えるだけに、同じ淡路の柳学園にも、今大会の経験を活かして頑張ってほしいと思います。
(文=田村正浩)
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