試合レポート

加藤学園vs近大高専

2019.10.28

4点リードを9回に追いつかれた加藤学園だったが、延長10回に脚で突き放す

加藤学園vs近大高専 | 高校野球ドットコム
9回に追いつかれたものの、最後まで自分の投球で粘った加藤学園・肥沼君

 昨秋は、県大会でベスト4まで進出しながらも、3位決定戦で静岡に敗れて東海大会進出はならなかった。しかし、今春は県大会準優勝で東海大会にも出場した加藤学園。初戦でこの夏も甲子園出場を果たした津田学園に敗れている。自信を持って挑んだ夏は、思わぬ序盤での敗退となったが、この秋も県大会準優勝で18年ぶりの秋季東海地区大会進出を果たした。そして、昨日の1回戦では地元の大垣西に逆転勝ちでまた一つステップアップしての準々決勝だ。

 近大高専は、県大会準々決勝で本命と目されていたいなべ総合に競り勝ち、準決勝でも三重に1点差勝ち。決勝では津商に完封勝ちして秋は初となる東海大会に1位校として出場することとなった。2年生が39人いるが、投手で1番を任されることの多い白石君をはじめ、旧チームからのメンバーが多く、経験豊富なのは秋季大会では強みとなっているようだ。

 そんな両校の対決、中盤までは加藤学園のペースで試合は流れた。

 まずは加藤学園が3回、二死走者なしからこの日1番に起用した平尾君が中前打で出ると、続く杉山君は思い切りのいいスイングで右中間を破って三塁打として一塁走者平尾君を帰して先制。さらに4回にも、先頭の4番佐野君が二塁打で出ると、バントで進めて一死三塁から雨宮君の中前打で2点目。

 そして7回にも先頭の雨宮君が中越へ三塁打すると植田君の中前打と盗塁に9番杉本敏君の安打で一三塁として併殺崩れの間に4点目。ここまでは加藤学園としては盤石とも言える試合運びだった。

 ただ、米山学監督は、「このまま簡単に勝てるわけはないのだから、気持ちを引き締めていなさい」ということは選手たちには絶えず指示はしていたという。案の定というか、その裏に近大高専は無死で安打の北川君をおいて7番松谷君の二塁打で1点を返し、さらに1番のもっともシュアな白石君が二塁への内野安打で2点目を叩き出した。

 こうなると近大高専が勢いづく。8回は4番藤井君の中越ソロで1点差。そして9回、先頭の松谷君が右越へ同点ソロを放って試合は振り出しに戻ってしまった。加藤学園としては、7番とはいえ松谷君はこの日、一番肥沼君の投球にタイミングが合っていただけに警戒していたところでもあった。ところが、その選手に一発を食って、展開としては非常に良くない流れ陥りかかった。それでも肥沼君がその後をこらえて延長戦。

 米山監督も、「追いつかれてもリードはされなかったから大丈夫」ということで、10回からの仕切り直しで選手たちの気持ちを立て直した。

 10回の加藤学園は1番からの好打順で平尾君が右中間へ二塁打。その後一死一三塁となったところで、「何度も練習していたので、大事な場面でやりたいと思っていた」(米山監督)というディレード重盗を試みる。二塁送球が少し高くそれたこともあって、三走の平尾君が生還した。結果的にはこれが決勝点となった。最後は、足で得点を奪い取って逃げ切った加藤学園だが、10回を投げ切った肥沼君の踏ん張りも見事だった。これで、加藤学園はまた一つ、確実に一つ上のステージへ進んだ。

(取材・写真=手束 仁

■開催期間:2019年10月26日~11月3日(予定)
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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