試合レポート

鹿屋中央vs川内

2014.07.20

第1打席に強い男・鹿屋中央・木原

 ここまで第1シードらしい勝ちっぷりで危なげなく勝ち上がってきた鹿屋中央に、ノーシードながらここまで3戦すべてにサヨナラ勝ちしてきた鹿児島川内が挑んだ。

 鹿屋中央は初回、4番・木原智史(3年)の左中間二塁打で2点を先制。3回には5番・川内大地(3年)が意表を突くスクイズを決め、序盤で3点を先取して主導権を握った。

 鹿児島川内のエース井上広大(3年)は、ここまで全試合を1人で投げ抜き、前の日も延長11回を戦った疲労があるのか、立ち上がりは制球が定まらない。木原に長打を浴び、鹿児島川内にも四球を与え、一気にワンサイドになるのかと思われたが、伝令が出て落ち着いた。その後は低めへの丁寧な投球がさえ、3回の1失点以外は、鹿屋中央打線を抑えていた。

 井上の粘投に打線も応え、6回二死一三塁とチャンスを作ると、5番・福田剛志(3年)がフルカウントまで粘って右中間を抜く三塁打を放ち1点差に詰め寄った。

 4度目のミラクルに向けて、鹿児島川内サイドは盛り上がるが、鹿屋中央は先発で力投していた空地大成(3年)に替え、エース七島拓哉を投入。七島が期待に応えて後続を絶つと、9回には先頭の山下亮太(3年)がセンターオーバー二塁打を放ち、2番・川崎拳士朗(3年)のタイムリーで貴重な追加点を挙げて、鹿児島川内を寄り切った。

 鹿屋中央の4番・木原は第1打席に滅法強い。5月のNHK旗では全4試合で先制点を叩き出しており、この日も初戦で勝った鹿児島工の1番・侍園から託されたバットで、初回に左中間を深々と破る二塁打を放ち、チームをバットで勢いづけた。

「あまり難しいことを考えず、来た球を打ち返しているからだと思います」と山本信也監督はその理由を話していたことがある。木原が常に心掛けているのは「右方向に引っ張ってセカンドゴロや右中間に打つ」ことだ。ヒットやタイムリーを打つことよりも「自分が打球を飛ばすことで、相手に恐怖感を与えること」が自分の役目だと思っている。この日の初打席は山を張っていた外角直球が来たので、素直に左中間に打ち返した。

 相手に与える「木原効果」は2打席目も発揮された。3回無死一塁で、打ち損じた打球がレフト方向に上がったが、長打を警戒して外野が後ろに下がっていた分、前に落ちるヒットになる。一走・吐合駿一郎(3年)は判断良く三塁を陥れて一三塁とし、5番・鹿児島川内が意表を突くスクイズを決めて、3点目を挙げた。

 打席を重ねれば重ねるほど、相手が厳しいコースを突いてくるのも注目打者の宿命。3打席目以降、ヒットは打てなかった。今後は第1打席からでも厳しい攻めをしてくることが予想される。それをどう克服するか、今後の注目ポイントだ。

(文=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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